愛を確かめさせてください
気付いたら走っていた。
あれ、あたし、どうして走ってるんだっけ?
ジェラールに相談してて…
『俺はあいつが嫌いだ』っていきなり言われて…
あまり仲良く話してる姿は見たことなかったけど、どうしていきなり?という疑問と、自分の口から言う恥ずかしさが合わさり、少し吃りぎみに『あたしは…好き!』って言って…
後ろに、グレイがいた。
グレイは動揺しているのか、コケちゃって。
ああ、あたしの気持ちがバレたんだって理解した。
なのに…
『あのさ、グレイ。さっきあたしとジェラールが話してたの…聞こえた?』
『…好き、なんだろ?』
『っ、』
『ジェラールが…』
あたしの中で、何かが弾けた気がした。
グレイに怒鳴りつけて、逃げ出し、今にいたる。
よくよく考えてみれば、グレイにはあたしがグレイのことを好きだということが、バレていなかったんだと思う。
でも、結構日頃から好きっていうアピールはしてきた。
だけど全然気付いてくれなくて。
わかっていることと言えば…
「あたし、失恋、したんだ…」
ルーシィの目に溢れた涙。
零れ落ちるかと思った瞬間、腕を掴まれたことにより引っ込んだ。
「誰が”失恋”したんだよ?」
「え…」
ルーシィの後ろから響く、心地の良い声。
「グ、グレ、っ!!」
そのままグイっと引っ張られると、いとも簡単に後ろからそのまま抱き込まれてしまった。
「好きだ…」
「グレイ」
「ずっと前から、好きだったんだよ!……っ、でも、オレには告白する勇気も無ければ、オレなんかじゃルーシィとは釣り合わねーんじゃって思ったら、どうしようもなくて……なのに、ジェラールとお前を見た時、勝手に勘違いして…嫉妬した」
そっとグレイはルーシィを離すと、クルリと自分の方へ反転させ、頭を撫でる。
「それ位、オレはルーシィが好きだ」
そう言ってグレイはギュッとルーシィを抱きしめる。抱きしめられたことに応えるかのように、ルーシィもゆっくり背に腕をまわすと、思いっきり抱きしめ返した。
「あたしも好き!…誰よりも大好きっ!!」
不意にルーシィの肩口で溜め息が聞こえる。
「グレイ…?」
「オレの方こそ、失恋したと思った…」
驚いたのも束の間、ふふっと笑うと、ルーシィはグレイのほほにキスをした。
「グレイ、大好きだよ…」
「ああ…オレもだ」
漸く両想いとなった恋人達は、互いの存在と愛を確かめるかのように、甘くもあたたかな口付けを交わしたのだった。
End
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