やっぱり私にください!!
「ナマエ、もしかしてまたグレイ先輩のクラスに行くの?」
『もち!私を将来養子にすると約束してくれるまで!!』
「懲りないわね…」
昼休み、いそいそと食べ終わったお弁当を片す私に、友達は呆れたような顔をむけてくる。
「グレイ先輩とルーシィ先輩がくっついて喜んでるのって、この学年じゃ多分ナマエだけよ?」
『皆目が腐ってんじゃない?』
ルーシィ先輩は、男子生徒ほぼ全員の憧れ。グレイ先輩は、女子生徒ほぼ全員の憧れ。
その為、「何でグレイなんか…!」と、闘志を燃やす男子生徒や「どうしてルーシィなわけ!?」と、嫉妬心を露わにする女子生徒がこの学校の大半を占めるわけで……
私からしたら、美男美女カップルだと思う。
まぁ、確かに、委員会でグレイ先輩の人柄を知らなかったら、「ルーシィ先輩とくっ付くとか、何様!?」みたいな感じだったかもしれない。
***
『ふはっ、目の保養!!』
先輩達のクラスに着くと、ちょうどルーシィ先輩とグレイ先輩が笑い合いながら談笑しているところだった。
うーん、あの素敵過ぎる笑顔を見ていたいけど、いつかあの中に入る未来のため!
今はルーシィ先輩の邪魔になっちゃうけど…ごめんなさい!!
『グ・レ・イ・先・輩〜!』
ワザとらしく強調して呼ぶと、やっぱりな…と言わんばかりの表情が振り返ってきた。
「ナマエ、お前また…」
『さあ、今日こそ私を養子にしt「しねぇよ」何でですか!』
「何でもだ」
いつもの如く、一刀両断。
私の学年の中で…というか、学校全体で、グレイ先輩達の仲を祝福する、数少ないタイプの人間なんですよ、私は!
プクッと頬を膨らませてグレイ先輩を睨むと、ちょいちょいと手招きをされた。
不思議に思いつつ近づくと…
「分かったらさっさと教室戻れ」
『あうっ!』
バチッとおデコに衝撃がはしった。
やられた!
赤くなっているであろうおデコを摩りながら、グレイ先輩を睨みつける。
まさか、某忍者少年漫画の目の赤い兄弟のやり取りをするとは…
「あー……ナマエ?…結構痛かったか?」
『遅い!気付くの遅い!せめてもう少し加減してください!!』
「……悪ぃ」
心配して伸ばされたグレイ先輩の手が、私のおデコに触れるかと思われた瞬間…
「グ、グレイ!!!!」
「うぉっ!?」
『!?』
突然グレイ先輩を呼ぶ声と同時に、グレイ先輩が前に少しつんのめった。
おかげで伸びかけていた手を避ける羽目になったが…
って、よくよく見ると、グレイ先輩の肩口から覗くのは、眩く綺麗な金糸。
教室でニマニマ笑うレビィ先輩を見付けて、この人が差し金なんだなと、直ぐにわかったけど…どうして突然、ルーシィ先輩はこんなこと…?
「どうした、ルーシィ?」
「…い、いくら何でも…おそい、気が、して…」
頬を染め、羞恥の為か微かに震えながら、グレイ先輩に後ろから抱きつくルーシィ先輩…
こ、これは!?!?
『ふごっ!!』
「え!?」
「安心しろ、ルーシィ。こいつは末期のビョーキだ」
今のはもしかしてもしかしなくても、ルーシィ先輩、私に嫉妬してた?
え、なにこの人…
私なんて、どう見たってただの通行人Bとか、モブCとかに相当する後輩なのに…か・わ・い・す・ぎ・る!!!
「グレイ先輩…ルーシィ先輩を……」
やっぱり私にください!!
堪らなくなって叫んだ瞬間、奥からはレビィ先輩の驚きの声があがり、クラスがざわついた。
「いっけね、言っちゃった☆」と言ったら、ご丁寧にデコピンを喰らったところを狙ってグレイ先輩にはたかれた。
グレイ先輩のケチ!!!!
End
ーーーーーーー
きっとこの後はルーシィに直接「私のお姉ちゃんになってください!」みたいな感じで攻めに入るのかな?(笑)
2014.01.24
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