ズルイ彼
思わず一目惚れしてしまったワンピース
髪型もキャンサーに頼んで、ワンピースに合わせてもらって
(ゆるふわな髪型なの♪)
ナツとハッピーは何も言ってくれないだろ〜なぁ…
ミラさんやレビィちゃんは「カワイイ」って言ってくれるかも♪
ロキは目ざとく来そうね;;
でも、一番に見て気づいてほしいのは…──
*******
「い、いい加減離しなさいよ///」
「抱きついてるだけだろ?」
「いいから!!///」
「……じゃあ、お前からキスしろよ」
「なななっ!!?///」
「しないと離してやんねぇ」
「/////」
ニヤリと笑って言うグレイに、何も言い返せない。
何故、こんなことになっているのか…
ちょっとした気まぐれで、いつもと少し違った格好にして。
誰かに気づいてほしいようで、その半面、似合ってなかったらどうしようという不安を抱えながらギルドに来た。
ギルドについてすぐミラさんのもとに行ったら『あらルーシィ、カワイイ格好ね♪』なんて言われて上機嫌になって。
そのままミラさんと話し込んでたんだけど…
『ルーシィ』
『あ、グレイ。おはよ』
『……』
『?』
いつもなら『おぅ』とかいって返してくれるのに…?
不思議に思って考えていたら…抱きしめられた!?
『ちょっ、グレイ…ここ、ギルドなんだけど…っ///』
『構わねーよ』
『な、何言って…///』
この時、視線をカウンターに移したけど、ミラさんの姿はなかった…
そして現在──
追い詰められたこの状況に、なんだか泣きたくなってきた。
「そんな目を潤ませんなよ。余計にいじめたくなるじゃねーか」
「意地悪……」
「男ってのは好きな女ほど、追い込みたくなるんだよ」
そう言って、グレイはさらにあたしとの距離を縮めた。
「ルーシィ!」
あたしはハッピーの声が聞こえたのをいいことに、グレイを突っぱねた。
「そんなの、グレイだけに決まってるわ!」
さっきからグレイに一方的に追い詰められたことが悔しくて、ぷいと背中を向けた。
後ろからは、くすりと笑う声が。
「ルーシィ」
「…何よ」
「言い忘れてたけど、そのワンピース、似合ってるぜ」
「……」
卑怯よ。
人を散々追い詰めて意地悪したくせに…
最後は必ず嬉しい言葉を言う。
「と、当然でしょっ」
あたしはそれだけ言うと、手を振るハッピーとナツの方へと駆けて行った。
口元を緩ませたまま……。
end
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