言葉よりも先に





ルーシィを仕事に誘った



自然さを装いつつ、かなりの勇気を要して(ここポイント)



二人っきりの仕事(ここかなりポイント)






*******








「…なのに……なんでてめぇがいんだよ、クソ炎!」

「細けーこと気にすん……うぅっぷ…;;」

「あい。動き出したみたいです!!」




昨日たまたま目に入った一枚の依頼書


《依頼内容:資料館新設の手伝い。主に歴史的蔵書・絵画等の運び込み。》


目にも留まらぬはやさで依頼書を取る(ナブ談)と、一直線にルーシィのもとへ



ルーシィ、こうゆうの好きだろ?小説のネタになりそうじゃねぇか?なんてそれらしい理由を、片っ端からあげて…



あん時はナツがいなかったはず…





「つーか、今回お前が出る幕はねぇ!さっさと帰れ!」

「んだと…うぅ…;;」

「毎度うぜえ!列車に乗らず走れよ!」

「ナツ、しっかり」



ルーシィはナツの背中をさする。


チッ…こんなはた迷惑な奴に、優しくすんなよ…



今日は二人っきりのつもりだったのに。



列車の個室に、向かい合って座り、最近人気が上昇し始めた作家について話してたところに割り込んできた桜色と青猫。


しかも桜色は、当然のようにルーシィの隣に座った。


そのせいで、さっきまでこっちを向いてた笑顔は、隣でへばってる野郎に向いていて…


その笑顔と優しさを向けられている先に黒くてドロッとしたものが、自分の中で渦巻くのを感じる



「…ル、ルーシィ……」

「何、ナツ?」



ナツの顔を覗き込むルーシィ。

綺麗な金糸の髪が揺れ、ナツに触れる



「ルーシィ、こっち…」



こいよ。オレの隣に座れって……我慢できなくなったオレが、ルーシィの腕を引く…その前に……



「う……無理…寝る…」

「ひゃっ!」



ナツの頭はルーシィの太股に乗っかった。






「でぇきて…」


──パキパキンッ



とりあえず、ハッピーの口から聞きたくもない言葉が出る前に凍り付け。




くそっ!胸糞悪い!







……って、ルーシィは誰のもんでもない。


ナツのもんでもなけりゃ、オレのもんでもない。



想いを伝えてすらねぇのに、いっちょ前に嫉妬してるオレは、かなり心が狭い……




「…ねぇ、グレイ…」

「んだよ?」




やべぇな、オレ

せっかくルーシィが話しかけてくれたのに、イライラした感情を乗せて返事をかえしてしまった。


心が狭いというよりは、ルーシィに対する独占欲が強いと言った方が正しいかもしれない。




「折角、二人っきりだったのにね」

「………」

「ナツってば、ホント……邪魔なんだから……」




ルーシィの小さな呟きは、それでもオレの耳に届いていて……




それは、ナツの頭が重くて邪魔なのか?



それともオレは…















…期待していいんだろうか…?





「ジュビアだって、いないのに……」

「………」




無意識であろうルーシィの一言で、期待は確信へ



立ち上がると、ルーシィを両腕で閉じ込めて。

まっすぐ見つめて。


そんなオレに驚くルーシィをよそに、その唇を奪った。







優しく触れ合うソレから、ゆっくりと深く、深く、深く……



最初は驚きからきた抵抗が、すぐになくなったことに安堵して……



右手をルーシィの後頭部にまわし、慈しむように髪を撫でながら、角度をかえていく。




まるで、それに答えるかのように首にまわされたルーシィの腕に、無性に嬉しくなった。





そっと唇を離せば、涙で潤んだ瞳とかちあった



ああ、すっげえ色っぽい顔……




なんて思いを頭の片隅に追いやると、今まで抱きつづけた想いをルーシィの耳元で囁いた。
















この日の依頼は、いつものトラブルメーカー(一人と一匹)が思いの外静かだったため、成功に終わったという。




End


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