第三の選択肢






「俺か…」

「僕か…」


「「選べ(んで下さい)」」

「ぇ…」





どちらを選んでも、いろいろと後が怖いと思うのは、間違っていないはず…!!









*******






「ふぅっ」



問題集から目を外し、一息つく。



「サクラ」

「なあに?サスケくん」

「今度の日曜「僕と出掛けませんか?」

「サイ!」

「………」



ムスッとした表情で、いきなり割って入ってきたサイを睨むサスケ

そしてサイは見事なスルースキルで話しを続けた。




「ちょっと変わった美術館で、プラネタリウムと併合しているんですけど…」

「面白そう!!」

「おい、無視するんじゃねぇ」




今度は、サスケがサイの肩を掴み、サクラの前へ




「前、サクラが行きたいって言ってた水族館…特別に、ペンギンの子供に触れる時間が設けられたんだ…」

「ペンギンの赤ちゃん…」

「ああ。二人でデートしようぜ」

「ふぇっ」



突然のサスケの大胆発言に、みるみる顔を赤くするサクラ

瞬間、サイの背からは、不機嫌オーラが。




「待ってください。サクラを先に誘ったのは、僕ですよ?」

「ふざけるな。先に声をかけたのは、俺だ」



いがみ合う二人に、当然戸惑うサクラ。


とりわけ仲がいい訳ではない二人だが、ここまで不仲だったろうか?という疑問で、サクラは支配されていた。




「それに、俺はサクラを存分に楽しませてやれるっ!」

「それは僕も同意見です」



彼女の気持ちを知ってか知らずか、二人の口論は、エスカレートする一方に見えたのだが…




「このままじゃ、埒が明きませんね」




サイはため息をついた。




「ここは、サクラに選んで貰いましょう」

「…え?」

「そうだな」



いきなり話しを振られて、戸惑うサクラに近づく二人。



「「サクラ」」


「俺か…」

「僕か…」


「「選べ(んで下さい)」」

「ぇ…」




選べと言われても……;;







よく似ていると言われているサスケとサイ。


この学園には、サスケ派かサイ派に分かれるファンクラブ(学園関係の『女性』が会員)が存在する。



誘ってくれることは、嬉しいサクラ。



ただ……




今後サクラに向けられる視線の痛さが増すことは、目に見えている。



ただでさえ、二人とつるむことの多いサクラはたびたび痛い視線を感じている。


そしてなにより、侮ってはいけないのが、ファンクラブの情報網の凄さなのだ。




「ぇっと…」

「サクラー!!」



返答に困っていたところに響いた、凛とした声は、親友のものだった



「いの、どうし…」

「今度の日曜、『僕等がいる』、見に行くわよ!」

「!!…行く!!」

「「………」」


サクラは、親友を待つ間解いていた問題集やらを鞄へしまい込むと、いのの背を押していそいそと退室


教室を出る間際、いのはサスケ、サイの方に振り返り、それはそれは勝ち誇ったような笑みをこぼしていた。




可愛いあの子の選択は、


親友という名の悪女



(二人には悪いけど、いののおかげで、助かった…)
(サクラを誘うなんて、私の目の黒いうちは許さないわ)←実はほぼ最初から見てた人
((…山中いのは強敵だな…))



ちなみに、彼女が親友を選択した理由が自分達にもあることを、彼らは知らない……。



End



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