恋愛講習(1/2)
一年間で最も苦痛とされる学年末試験を終え、待ちに待った春休みを迎えた
…といっても、それは生徒の話し。
教師である俺には関係ない。
むしろ、俺にとっての春休みなどの長期休暇はイジメでしかない。
それは、俺だけでなく、あの作り笑顔野郎も同じ…
「サスケ先生、サイ先生見ませんでしたか?」
「いえ、見てませんけど」
未だに寒い外とは対照的なぬくぬくとした職員室。
サクラに会えない俺にとって、ここは牢屋だ。
「サイ先生なら、春野さんに『講習』をすると…「この書類、俺からサイ先生に渡しておきます」
「え、あ…サスケ先生!…ってもういない;;」
「でも、サスケ先生、サイ先生がどこにいるのかわからないんじゃ…」
「大丈夫よ。サイ先生、春野さんと一緒なんでしょ?」
ああ、なるほど…と職員室内にいた教師は全員納得したのだった……。
*******
職員室よりも確実的に寒い廊下。
向かうは『講習』をしているという二人のもと…
さきほど受け取った(奪った)茶封筒が悲惨な音をたてた気がしたが、構わない。
あんの作り笑顔……!!
こういった長期休暇の場合、部活なんかを除いて生徒が学校に来ることはまずない。
『補習』で来る生徒は確かにいる。……が、残念ながら(←教師失格発言)サクラは成績優秀。
だが、『講習』は違う。
『講習』は希望者がいれば、教師自ら開くもの。
その手があった……じゃなく、何考えてやがんだ、あいつは!!
『さぁ、もう一度』
『もう、無理。だめ……』
眉間にシワをつくると、突然聞こえてきた二つの声のもとへと走り出した。
***
遡ること、春休み前日──
はぁ……
明日からサクラに会えないなんて……
終業式の最中だというのに、ため息ばかり。
隣に座る教師を見遣る。
「サクラに会えないなんて、つらいですよね?サスケ先生?」
「何言ってんだ、お前」
「相変わらず、素直じゃないですね。(まぁ、素直になられても困るかな…)」
「フンッ」
「……サクラに嫌われちゃいますよ?(その方が有り難いけど)」
聞こえないように呟いたつもりだったのに、隣からはものすごい殺気を帯びた視線がビシビシと突き刺さる。
地獄耳だなあ……
僕の隣(サスケとは逆側)の先生の方がびびっちゃってるし…
頭に思い浮かぶのは一人の生徒──春野サクラのことばかり。
教師失格(二人目)なこの人物──美術教師のサイは視線をさ迷わせることなく、サクラを発見。
各クラス、女子列と男子列の二列で並んでいるのだが…
「………」
サクラがシカマルに笑いかける姿をバッチリ目撃したサイは、表情は笑顔のまま固まった。
「(式中しゃべってたのを見たのを理由に、春休み中呼び出そうかな…)」
式も終わり、その場解散になった後、サクラがサイに講習を開いてほしいと頼んだのだった。
「講習…?」
「サイ先生にしか、お願いできなくって…ダメですか?」
このかわいい生き物は何なんだろう?
「僕でよければ構いませんよ?」
「ホントですか?ありがとうございます!!」
サクラの笑顔に五光が見えたのは気のせいじゃないだろう。
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