甘いモノ方程式
「これ可愛い♪」
手にとったものは、コルクで栓をされたガラス瓶。
中には、色とりどりの包装紙に包まれた飴玉。
あいつに買って帰ったら、大喜びすること間違いなしね♪
「これ一つください!」
「お嬢さん、持って帰る時は気をつけてね」
「おばさん、あたしってそそっかしそうに見える?」
「そうじゃないよ」
瓶にピンク色のリボンをかけると、おばさんはため息をついた。
「最近は、めっきり被害が無くなったらしいけど…」
……その分、あたしが被害受けてます;;
*******
「…ただいま」
「おせーよ、ルーシィ」
「ここあたしん家だから!!」
この当然の如くあたしの持ってる買物袋をあさりだしたピンク色…
人の姿をしてるけど、“人じゃない”
さっきおばさんが言ってた“被害”は、全部こいつのせい。
「おっ、コレもーらいっ♪」
乱雑に自分と同じ髪色のリボンを瓶から取ると、コルク栓をはずしにかかるソイツは、最近ちまたを騒がせていた“悪魔”
──『グレムリン』──
悪戯と甘いモノが大好きだと言われる悪魔。
で、町の見えないところですき放題。
それがおばさんの言ってた『被害』ってわけ。
どういうわけか、家に住み着く勢いで上がり込んでくるコレ─名前はナツ─。
まぁ、そのおかげで町への被害は無くなったらしいけど、その分あたしが迷惑してるのよ!!
「今日は仲間を紹介してやるよ」
「へぇ、あんたに仲間ねぇ……って、グレムリン!?」
「んあ?当たり前だろ?来いよ、ハッピー」
こんなはた迷惑な奴が、もう一人……
「あい!」
ナツの後ろから声が聞こえたけど、誰も(何も?)出てこなかった。
そのかわり……
「おわっ!?」
ナツがあたしに向かって倒れ込んできた!
「おわぁぁっ……!」
ナツに押し倒されるかたちになったルーシィ。
「おい、ハッピー。何すん……」
そう言ったナツの唇とルーシィの唇が不意に重なる……。
一瞬時が止まったように感じたが、すぐに唇は離れた…
というか、ルーシィは力の限りナツを突き飛ばした。
口の中に広がるのは、先程までナツが頬張っていた飴玉の味──
「ハッピーです!!」
ナツの後ろから顔を出したのは、青い猫。
「あ、オイラは魚で構いません」
「さ、魚ね…か、買ってくるわ…///」
猫!?グレムリンなのよね!!?というツッコミを入れる余裕すらないルーシィ。
「顔が赤いけど、大丈夫?」
「な、何でもないの!!///」
ナツが気を失っているのをいいことに、必死にごまかした。
「おとなしく待ってて!!///」
「あいさー」
とにかく今は、家から出たい。
ただそれだけだった。
─ガチャン
「あ、ナツ!!」
「……」
ルーシィが出たのと同時に、ナツがムクリと起き上がった。
「…ハッピー、コレやるよ」
それは、飴玉の詰まった瓶
「ナツが甘いモノを人にあげるなんて…!!」
「飴よりも、甘いモン見つけたんだよ」
飴玉なんかよりも、病み付きになりそうな……
頭に浮かんだ一つの《方程式》……
「ルーシィが帰って来たら、答え合わせしねーとな」
end
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[ mokuji]
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