食わず嫌い改善記
「腹減った……」
「ナツ、お前さっき早弁してた奴が何言ってやがる」
「うるせー!我慢できねー!!購買部行ってくる!!!」
あと少しで授業始まるっつーの。
現在3時間目と4時間目の間の休み時間。
ナツ並の空腹はかんじていないが、たしかに小腹がすいた。
だが、購買部に行って何か買うにしても、時間がないし、量がある。
腹ためたはいいものの、授業中眠ることは許されない。
(後ろの席になった、赤い髪の学級委員長のせい)
そしてなにより、次の授業が終われば最愛の彼女のお手製弁当が待っている。
そこまで考えて、ふと彼女の席を見た。
親友のレビィと、お菓子を食べながら談笑しているルーシィ。
……彼女から恵んでもらう彼氏って、カッコ悪くね?
だが、逆に彼女からしてみれば、自分を頼ってくれないのかというだろう。
それが、ルーシィだ。
グレイは意を決すると、ルーシィのもとへ行った。
*******
「ルーシィ、その菓子くれよ」
「グレイって、こういうの好きなの?」
ちょうど話しの区切りを見計らって頼めば、新発見ね。と嬉しそうに笑うルーシィから、菓子を受け取る。
「いや、そーゆーわけじゃねぇけど……」
受け取った菓子……クッキーの細長い棒にピンク色をしたチョコレートらしきものがコーティングされている。
どうみても、イチゴ味だろうな…
自分から率先して買おうとは思えない菓子だった
まあ、理由としては空腹ってのがあっけど……
「ルーシィが食ってるのを見てたら美味そうにみえて、食いたくなった…」
なんでだろうな?
と、一番に思い浮かんだ理由と疑問を、苦笑しながら両方ともぶつけた。
すると、レビィはニヤニヤと笑い、ルーシィは固まってしまった。
…オレ、なんかマズイこと言っちまったか…?
「ルーちゃんラブラブね!」
「ちょっと、レビィちゃんっ!!」
レビィの言葉に、みるみると顔を赤くするルーシィ。
いや、ラブラブとか言ってくれんのはスゲー嬉しいけど…
「どこをどうとったらラブラブになんだ?」
「グレイ、わかってて言ったんじゃないの?!」
ルーちゃん、こっちの方が新発見だよ!!と面白がるレビィに、未だ顔の赤いルーシィ。
「グレイ、本当にわかんない?」
「……ああ」
「それはもちろん、グレイがルーちゃんのこと、好きす「レビィちゃん!!!」
必死なルーシィには悪いが、バッチリ聞こえた。
「ありがとな、ルーシィ。ごちそーさん」
あえてそのことには触れずに、ルーシィの頭をひと撫で
「後でな」
「う、うん」
自席に戻りながら考える。
後で自分の口から言おう
ルーシィのすることが、楽しそうに見えるのは……
ルーシィの食べるものが、美味そうに見えるのは……
君のことが好き過ぎるから
けど、どちらかっつーと、『愛してるから』だな。
End
[ 6/16 ][*prev] [next#]
[ mokuji]
[しおりを挟む]