愛の証を御手に
盗賊を捕まえて160000J。
あたしが入った頃に、ナツがやろうとしてた依頼とかなり類似してる。
今日も今日とて、最強チームで来たんだけど……
*******
「火竜の鉄拳っ!!!!!」
「アイスメイク・槍騎兵(ランス)!!!!!」
「循環の剣(サークル・ソード)!!!!!」
「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁああああっ!!!!!」」」」」
盗賊達のアジトについて早々、断末魔の叫び声がこだました。
「あい。見るも無残な状態です」
「あはは…;;」
遅れて来たルーシィの目に見えたのは、気絶した下級魔導士の山だった
「やっぱり、闇ギルドと手を組んでたんだ…」
ここ最近、盗賊達の行動パターンに変化があるという情報から、何か大きなバックアップ……それも、魔導士が関与しているであろうことが分かっていた。
だから全員、全力で立ち向かっているのだが…
「暴れたい放題…;;」
まぁ、結構山奥だから、大丈夫かしら…?
報酬がゼロにはならないとは思うけど……と思案していたところに……
「よそ見とは、余裕だなっ!!」
「…っ」
背後を敵にとられていた。
あまりにも早い攻撃の為、ルーシィはかわすことが出来ずその場で強く目をつぶった。
──ザシュッ……!!!
……あれ?
痛く…ない…?
いっこうに痛みが襲ってこないのを不思議に思いながら、おそるおそる閉じていた目を開けると…
「グレイ!」
「くっ……」
ルーシィの目の前には、代わりに攻撃を受けたグレイがいた。
「オレの女に手ェ出すとは、いい度胸してんなぁ……」
「グ、レイ……」
「今スグぶっ飛ばしてやんよぉ!」
「それはこっちのセリフだ!!正規ギルドだからって、調子に乗るな!」
ルーシィはあまりのことに、その場に凍りつく。
目の前を深紅の雫が飛び交い、打撃音が響き渡っていたが…
「口ほどにもねぇ………っく…」
「グレイ!」
目の前で、胸を抑えながら倒れ込むグレイを見て、ハッと我に返る。
「…すごい血がっ……」
真正面から受けてしまったせいか、胸は思った以上に深い傷を負っている。
「ごめんなさっ……」
ルーシィの目には、自然と涙があふれていた。
無力な自分が情けなくて悔しい…。
あたしはいつも、人に迷惑をかけてばっかで……。
グレイはそっとルーシィのほうへ手を伸ばすと、溢れだす涙を指でぬぐった。
「泣くな。こんな傷、たいしたことねぇよ……」
「グレイ……」
「こんなんで泣いてんじゃねーよ。こんぐらいの傷、いつものことだろ?」
「だってっ……」
「好きな女を守って負った傷だ。後悔してねぇよ」
「……」
むしろ勲章?なんて笑うグレイに、ルーシィは思わず赤面。
今、グレイ…「好き」って……///
それにさっき、「オレの女」…って…/////
グレイはひょいっとルーシィの手をとる
「だからもう泣くな。わかったか、姫さん?」
「ハイ///」
「よく出来ました」
そういってグレイははにかむと、ルーシィの手の甲にそのまま口づけた。
「え、ぇっ、グレイ?な、何して…///」
「ん?姫さんを守った報酬」
「なっ!?」
「……さっき言った『好き』っつーのは、本心だ…」
一瞬、時間が止まった気がした
「ルーシィのことは、オレがずっと守ってやる……」
「それって…」
「愛の告白…のつもりだったんだけど…?」
「っ!!!///」
うそ、ウソ、嘘っ!?
「ホン…トに?」
「…ああ///」
顔を赤く染め上げ、頭をガシガシかくグレイ
「で?」
ふと視線を上げたグレイの目は、とても真剣で…
「返事は…?」
そんなの、決まってる──
「よろしく、お願いします///」
「っ…まかせろ///」
再びグレイはルーシィの手の甲に口づける。
「ルーシィをずっと、守ることを…
…誓います」
「でぇきてるぅ〜」
「なんでグレイなんだよ!?」
「納得できん!!」
「オイラ達のこと、すっかり忘れてるよね……って、二人とも聞いてない;;」
全員が仕事のことを思い出すのは、グレイとルーシィの間にナツ達が割って入った後だった……──。
End
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