3rd





不二君と菊丸君に、罰ゲームのことがバレた(別に内緒にしてたワケでもないけど)。

そしてその日から、私の友達ら数名は、どういう訳か罰ゲームの対象を彼らに絞り始めたのだった。



「おはよう山川さん」


「おっはよーん!」


「……2人ともおはよう」


朝からにっこり笑顔の不二君と朝から元気いっぱいの菊丸君に挨拶された私は、朝から憂鬱さを漂わせつつ挨拶を返した。

元気なく見えるであろう私に菊丸君がかけてきたのは、心配の言葉ではなく、コレだった。


「山川ちゃん!ねえ、今日はなんの罰ゲームっ?」


果たしてそれは元気のないクラスメートへの言葉として適切なのだろうか?と思ったが、まあそんなことはさておき。


昨日の放課後、友達とトランプでジジ抜きをした(……結果は割愛)。

そしてまた、例の罰ゲームである。
しかも、菊丸君の「今日は」という台詞で分かるかもしれないが、ここ最近、毎日である。
おかげで、この2人との会話数が以前より格段に増えてしまった。


「はあ……なんだろ、この嫌がらせな罰ゲーム……」


「まーまー。で、なんの罰ゲーム?」


ああ菊丸君、キミもあの薄情な友達と呼ぶのもはばかられる我が友らと同類なんだね……。

小さく溜め息をつきながら、質問に答える。


「今回はね、不二君をくすぐれって……」


「ほえ〜、またヘンな罰ゲームだにゃ〜」


「ヘンどころじゃないって……」


もう一度溜め息をついて、テニス部の朝練後で疲れているであろう不二君に頭を下げたのだった。



………………



結果報告。不二君の脇をくすぐってみたが、大した反応は無い。


脇は平気なのかと尋ねると「特にくすぐったい箇所は無いけど」なんて答えが返ってきて、微妙に羨ましく感じたのは私だけではないと信じたい。
私は脇以外にも首とかお腹とか……弱い部分がいっぱいあるからなあ……。


「罰ゲームなら、寧ろ山川さんをくすぐった方が良さそうだよね」


こんなことを不二君が言い出した時には、断固拒否した。
いやだ、そんなのもう罰ゲームなんかじゃない……うう。


「あっ!ねーねー今度さ、俺たち3人で何かゲームとかしようよ!モチロン、罰ゲーム付きでっ」


……それは、あらゆるゲームに弱い私へ向けた一種の嫌がらせですか菊丸君?


「んー……考えとく」


それだけ言って、私は自分の席につき机に突っ伏した。

ああ、素晴らしきかな日本の社交辞令。



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