ルークとねこ | ナノ
CP無し



ルークは日課である日記を書き終え、分厚い表紙をぱたりと閉じた。
どうせ書くことなんていつも一緒、なにも変わらないのに毎日毎日鬱陶しかった。
そろそろ寝るか、誰に言うでも無く呟いてがしがしと頭をかいた。
明日は何をしようかと考えかけたが、考えるのはそこまでにしておく。
考えるだけ無駄なのだ、どうせ自分にできることなんて限られている、なんて馬鹿馬鹿しい。
それよりも、いつもより部屋が明るく感じるのは気のせいだろうか、明日への思考断ち切り窓際へと歩み寄った。
変に几帳面なガイによってきっちり閉めきられていたカーテンを開くと、やはり気のせいではなくていつもゆりまん丸の月が顔を覗かせていた。

「満月、か。」

綺麗だな、と言いかけたところで物音に気付き、口を噤んだ。

夜中たまにこっそりとやってくるガイかと思ったが、物音は廊下からではなく、外の花壇の辺りから聞こえてきたようである。
花壇によくいるのは庭師のペールぐらいだが、いくらペールでもこんな時間に庭の手入れをするわけがない。
なら音の根源は一体なんだろうか。
思い切って窓を開け放ち、その窓縁に手をかけた。
手入れされた庭へと飛び降り、慎重に周りを見渡して見るが人影は見当たらない。
変わりに見つけてすまったのは、怪我を負った真っ黒な猫だった。
猫はぐったりとしていたが、手を差し伸べてみると、枯れた声で一声威嚇した。
しかしそれだけで、それ以上抵抗する力が残っていないらしく、先程まで爛々と輝いていた目は力無く閉じてしまった。
そんな猫を見捨てるわけにもいかず、できるだけ優しく抱き上げた。

「屋敷のみんなには内緒だからな」

猫は静かに瞳を閉じたままだったが、確かに暖かかった。
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