ルークが珍しく早起きをした日の朝、既に起きていたメンバーの一部が何人か集まり深刻そうに話し込んでいた。
どうしたんだろうか、彼らがあんな顔をするなんて滅多にない。
「なんかあったのか?」
一番近くにいたフレンに声をかけると、丁寧におはようございますと一礼し、それが…と言葉を濁した。
それが、では状況どころか全てなにも分からない。
わけわかめ、である。
「別に教えてやってもいいじゃねーか?」
「ユーリ…。否、だが…。」
そこに助け舟を出したのは、まさかのユーリ・ローウェルであった。
然しそれでもフレンは、言い出すことを躊躇っているようだ。そんな彼にユーリは溜め息を吐き、隠してたって仕方ないだろと言った。
「ルーがダンジョンに入ったまんま帰って来ねぇんだとよ」
「ルーが!?」
「然も、1人で世界樹に向かったみたいで…。」
そんな、世界樹だなんて。
あそこは一度行ったことがあるが、ディセンダーの力を持ってしても一体倒すのが精一杯だったのだ。
いくらルーが強くても、無謀過ぎる。
ルーに何かあったらどうしよう。
嫌な考えを断ち切るように頭を左右に振り、ルーなら大丈夫と自己暗示する。
そうでもしないと、心配で立っていられない。
「…ルーなら、大丈夫だろ」
「…そうだな、ルーなら、」
恐らく、ユーリも大丈夫と言葉を続けようとしたのだろう。
然しその言葉を紡ぐ前に、なんとも間抜けな声が響いた。
「あれ、呼んだ?」
「「ルー!?」」
みんなの声がそれはきれいにハモった。
「え、うん?どうかした?」
「どうかした、じゃないわよ!みんなあなたが帰って来ないって、大騒ぎだったのよ!?」
「そうだヨ、ルーに何かあったんじゃないかって…。」
リーダーであるアンジュとルーと仲の良いマオの言葉を皮切りに、皆思い思いの言葉を口にした。
ルークも一言文句を言おうとしたが、どうも上手く言葉にできずにいた。
「えっと、その、心配かけてごめんな。あそこ時間の感覚掴めなくて…。」
夢中になっちまった、とすまなそうに話すルー。
ルークは結局何も言葉が見つからず、変わりにルーに正面からぎゅっと抱き付いてやった。
「…ルーク、ごめんな。」
「……やだ。」
人がどれだけ心配したと思ってるんだ、とか勝手に出掛けんなとか、俺も連れてけとか、言いたいことは沢山あるのに言えなくて。
だから言いたいことの分、抱き付く力を強くしてやった。
―――キミだけに心配性