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拍手お礼小説「卒業」トム、静雄、臨也です。





「やだぁ、卒業、しないで下さい、っトムせんぱぁい…」
「あー、ほら、いい子だからよ。泣き止め?な?」
「先輩が、卒業しないなら、泣き止みます…っ」
「そりゃ無理だな」
「うわぁああああぁん!」


俺達の出会いはなんとも希薄だった。こいつの入学式の日にナンパした、可愛い後輩。可愛かったから、そんな軽い気持ちでナンパしたのに俺はこいつに本気で惚れたし、こいつも見ての通り。

――あの日から2年…か。

なんだか感慨深い気持ちになり、気を抜けばもらい泣きすらしてしまいそうな気分だ。この2年間、いや、俺の高校生活はこいつで埋め尽くされていたし、それで満足だった。それが1番の幸せだった。ふわふわしたクリーム色の髪を梳いてやると真っ赤に腫らした目を細めてようやく笑った。


「トム先輩、2年間、ほんとにありがとうございました、」
「ん、お前もあと1年頑張れよ?」
「はい、トム先輩…」
「なんだ?」
「…だいすきです…、」
「!」
「すきです、だいすきです。」
「お前…」
「ぎゅってしてください、」


普段は俺が好きだと言うだけで顔を赤らめて恥ずかしいです、とそう消えそうな声で呟くだけだというのに今日はどうやら訳が違うらしい。
――下手したら、初めてなんじゃね?
可愛い後輩から初めて呟かれた大事な言葉は、卒業の餞としてきっとこれからも俺の中に刻まれる。

卒業生や在校生が涙を溜めてひしめき合っている昇降口を離れ、人通りのない場所に来てようやく、小さな後輩を抱きしめた。


「こんな悲しいことって、ありません」
「…俺もこんなに悲しんでもらえるとは思ってなかったよ」
「ほんとに、寂しいです」
「何も永遠の別れじゃねぇべ。」
「はい。トム先輩…」
「ん?」
「ご卒業、おめでとうございます。」


田中トムの場合


(俺が社会出て安定したらよ、迎えに行くからな)
(は、はいっ!待ってます…!)





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