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しあわせの中で






「なに怒ってんだよ?」

「…別に。怒ってないもん」

「怒ってんじゃねェか」

「エースのせいだもん…」

「おれの?」



ベッドの上でおれに背を向けていじける女は彼女のaaa。今の会話でおれは知らないフリしてみせたけど、ほんとはわかってんだ。お前が怒ってる理由。あれだろ?さっきおれがナースとわいわいじゃれ合ってたからだろ?お前、あのナースのこと気にしてるからな。




「エースはなにもわかってない」

「…じゃあおれにわかるように教えてくれよ」

「そ、それは…」




言えないよな。お前そういうこと言えない性格だから。でもだからこそ言わせてェんだ。aaaの口から嫉妬したってことを、聞きてェんだ。最低かもしんねェけどたまには聞かせてくれよ。



「なァ、aaa…?」

「ぅー……エ、エースが、」

「うん。おれが?」

「エースが…あのナースの子と仲良くするから」




ほらな。やっぱりナースのことだった。ほんとは傍にaaaがいることを知っていてじゃれ合ってた、なんて言ったらお前はどうするんだろうな。なかなか聞けないセリフにおれの機嫌はすっかり良くなる。でもそろそろ、aaaの機嫌も直してやらねェとな。



「aaa、」

「エースは」

「ん?」

「エースはエースはだれの彼氏なの?」

「は…?」

「エースは私の彼氏でしょ?だったら私以外の人に触ったりしないでよ…」




まるで頭をハンマーで殴られたような衝撃だった。あの恥ずかしがり屋なaaaがこんなこと言うとは思わなかった。おれとしてはせいぜいヤキモチ焼いちゃいましたー、って報告くらいで十分だと思ってたから。不意打ちすぎるだろ。おれ愛されてんなァ…。ってそうじゃねェか、今は泣きそうになってヘソ曲げてるコイツをなんとかしなきゃな。





「aaa、」

「…エースのバカ」

「あァ、おれは大バカだ。嫌な思いさせてごめんな」



背を向けてたaaaの身体をグルっとおれの方に向きなおさせて顔を覗きこめば、やっぱり泣きそうな顔してた。ごめんな。おれは前髪をどかしてその白くてなめらかな額にキスをした。それでもまだ機嫌が直らねェみてェで、複雑そうな顔をしていた。




「aaa…」



あー…おれはさ、素直じゃなくて不器用で臆病なお前が好きでたまらねェよ。このまま押し倒しちまいてェなァ。なんて思ってた頃には、いつの間にかaaaを押し倒していた。なんて素直なおれ…。




「エース…?」

「なァ…aaa」

「…なに」

「さっきは悪かった。お前がおれを不安にさせるからつい意地悪したくなっちまった」

「私…エースのこと不安になんか…」



なんだよ、お前の方がわかってねェじゃん。バカだけどみんなに好かれていて、無意識に野郎共にいい顔してるお前にいつも振り回されて不安になってんのはおれの方なんだぜ?
だからよ、おれのイタズラなんて可愛いもんだろ?



「…抱きてェ」

「え…?」

「なァ…いいだろ?」

「でも…、」

「あんなこと言わたらカレシとして黙ってるわけにはいかねェだろ?」




やっぱりコイツばかだ。あからさまになんのことだかわかりません、みたいな顔してる。それともさっきのは無自覚に言ってたことなのか。




「aaa…」

「んっ、エース…」



顔をaaaの首筋に埋めると僅かだが甘い声が漏れたのが聞こえた。だめだ、おれは。どんなにスタイルのいい女に出会おうが美人の女に誘惑されようが、お前以外の女を抱ける気がしねェ。

ペロリと耳から首筋にかけてなめるとピクリとaaaが反応した。



「あっ…ん、」

「aaa、」

「んんっ…」

「声、ガマンすんなよ」



聞かせろ、と言えばふるふると首を横に振った。口元に手を持ってきてよ、声抑えようとしてんだろ?そういうこともおれを煽るってわかんねェのか?
それまでaaaの顔の横についていた手を胸に持っていく。優しく揉むように触れれば相変わらず柔らかい感触に眩暈がしそうになった。




「好きだ…aaa、好きだ」

「あ…ん、エース、わたしも、すき…っ」



吐息混じりに名前を呼ばれて好きだなんて言われれば、理性なんて簡単に崩れていく。



「悪ィ…今日はとまんねェかもしれねェ…」

「んっ…、でも少しは手加減してね…?」

「努力します」



そうして再びaaaの身体に沈んだ。

 
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