ハルタからもらった飴


なぜか唐突にハルタから飴をもらった。違う種類の飴を一つずつ、計2個。片方は赤色でもう片方は黄色。色からするとたぶんイチゴ味とレモン味だと思う。私はどちらかといえばイチゴ味のほうが好き。だけどなぜか今日はレモン味のほうから食べてみたくて包装を剥がしてさっそく口の中に放り込んだ。

ちなみになぜイチゴ味のほうが好きなのかというとレモン味のほうが苦手だからで、だってレモン味ってすっぱいくせに妙に甘かったりして口の中シュワシュワするし、それが苦手なんだ。


「うわっやっぱり変!」


吐き出すわけにはいかないけどやっぱりイチゴ味から食べればよかった。ていうかハルタはなんで飴なんか持っていたんだろう。たしかに飴を持っていてもおかしくない見た目だけど。そういうところがなんだか可愛い。


「ん?」


そういえばこの前はチョコくれたなー、なんて考えていると少し先に小さな女の子が泣いているのが見えた。どうしたんだろう。具合悪いの?


「どうしたの?大丈夫?」


声をかけるとその子は一瞬おびえたような顔をして私を見上げた。そりゃそうか、知らない人に声かけられたら怖いよね。


「あ、怖がらせてごめんね。でも泣いてたから心配で。どうかしたの?」
「あ、あのね…飴、落としちゃったの」


その子が言うには大好きな飴、しかも最後の一個を誤って落としてしまったらしい。お気に入りの飴だったから泣くほどショックだったと、そういうことのようだ。うん、まあ食べ物の恨みっていうのがあるくらいだからね、楽しみにしてたんだったらショックも受けるよね。

あ、そうだ。


「ねぇ、イチゴ味の飴ならあるんだけど食べる?」
「え、いいの?」
「うんいいよ」
「わーい!ありがとう!私イチゴ味が一番好きなの!さっき落としちゃったのもイチゴ味で」


少女はたいそう喜んでくれた。私もハルタからもらった身だけど…いいよね?
だってこの子の飴をもらった時の嬉しそうな顔見てたら私もうれしくなっちゃったから。きっとハルタがこの場にいたら、仮にその飴が私のあげたものだったとしても同じことをすると思うの。


「ありがとうお姉さん!じゃあねー!」
「うん、ばいばーい」


明日ハルタにお礼を言おう。レモン味もイチゴ味もおいしかったって。




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