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さて、マルコさんは会社に行ったし掃除でもしようかな!そう思ったのに家政婦でも雇ってんの?って思うくらい整理整頓されホコリひとつ落ちていなかった。…これは私がやるよりもマルコさんがやった方が綺麗になるんじゃ…?女として、妻として絶望的な思考に陥るがやっぱりここは私がやらねば!だって私は2日前からマルコさんの妻になったのだし!
「ヒ〜、部屋が多い〜!」
私が前に住んでいた家はそんなに大きくない部屋が2部屋あった。ここはその倍以上もの部屋がある。ゼィゼィ…腕が死ぬ…壊死する…。さっきまで意気込んでいたというのにもう挫けそうだ。こ、これだから金持ちは…!一人で住むのにこんなに大きな家なんかいらないでしょうがァッ!
「お、終わった…!明日はきっと筋肉痛だな。間違いない」
掃除の終わった今、とんでもなく大きい達成感が私を包んでいる。とにかく目標のひとつである掃除は完了した!次は冷蔵庫の中を確認して買い出しだ!けどその前にお昼ご飯を食べよう。
「冷蔵庫の中いっぱい…。おいしそうなものばっかりだよ…」
冷蔵庫の中を見てマルコさんはなかなか自炊をしているのだと見受けた!掃除といい自炊といい、結構家庭的なんだなぁ。見た目はそう見えないんだけれども。
作ったラーメンを適当にすすりながら部屋を見回す。私が住んでいたところと違って広く整然とした部屋。彼の性格を表したようなシンプルな家具たち。うーん。私本当に結婚しちゃったんだなぁ。
「よし!お腹もいっぱい!気合もじゅうぶん!」
買い物に行こう。
マルコさんから預かった鍵をもってしっかり施錠しスーパーへ向かう。ちなみに私はほどほどの方向音痴だ。しかし車もないし手持ちのお金もあまりないので歩いて行くこととする。け、結構遠いかも…!今日の朝マルコさんにスーパーの位置を適当に聞いただけなのでちゃんと辿り着けるか非常に不安である。ってアーッ!スーパーだ!スーパーだよ!よ、よかった…!
「フフン!私だってやればできるのよ!さ、今日は肉にしよ〜」
ちなみにマルコさんの味の好みなんか知らないので完全に私の私による私のための食材選びである。値段は安いけどおいしそうなお肉をゲットしてホクホク〜。明日は魚にしようなんて考えてスーパーを後にした。
「マルコさんは人が食べられる料理ならなんでもいいって言ってたけど、私だってちゃんとご飯くらい作れます〜!ってアレ?ここどこよ?」
いい買い物をして浮かれきっていたのか、サッパリ知らないところに来ていた。え、もしかして迷子!?
ヒィー!こんな昨日地図持ちながら初めて訪れたような場所で迷子なんて!や、ヤバい!迷ったらしい場所へ戻ってやり直さないと…!アレー私どこからきましたか?
「ここはどこですかー!」
「お姉さん迷子になったの?」
「は?」
誰もいない道路の真ん中で叫ぶと誰かが声をかけてきた。だ、だれだよ…!もちろん知らない人だ。
「こんなとこで迷子だなんて、お姉さんここらへんの人じゃないでしょ〜?」
「…まぁ、ソウデスネ」
「おれが道くらい教えてやるよ。ってことでどっかの店にでも入らねェ?」
「は、入りません!それに私買い物袋も持ってるし!」
「そんなの持ってやるよ」
ギエェェ!わ、私に触るんじゃねェ!と言いたいが小心者な私にそんな度胸はない。もう一度いうが私はか弱くて小心者な女の子だ。
「だ、大丈夫です!それに私こう見えても人妻なんですよ!」
「へ〜?若いのに結婚してるんだ?大変だねェ」
「べつに大変じゃねーよ!もういい加減にしてください!」
いい加減ブン殴ってやろうかと思った時、プー!と車のクラクションのような音が響いた。あ、あれ?あの車、今朝見たような…!
「オイ何やってんだい」
「ギャー!マルコさん!私さらわれる!」
「あ?だれだよ」
「旦那だよ!私の旦那さまです!」
救世主が現れたと思ったらなんとマルコさんだった。エェーッ!なんというミラクル…!
「オイそいつから手ェ放せ」
「てめェ誰だよ」
だから私の旦那だって言ってんだろーが。一回で理解しろや。あーマルコさん助けてー!
「その女はおれの嫁だよい。さっさと放せ」
マルコさんの一言に怯んだのか、しつこすぎた猛烈ナンパ男はあっさり私の手を放し逃げていった。
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