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なんとなく人が入ってくる気配がして少しだけ意識が浮上した。起きていればそれが誰の気配かなんてすぐにわかるんだろうけど、今は半分夢の中。思考がそこまで回らない。だけど私の名前を呼ぶ優しい声でそれが誰なのかすぐに理解した。もう食器洗い終わったんだ。今日はたくさんあったから大変だっただろうなぁ。ありがとう、と心の中で呟いて再び意識を夢の中へ戻そうと思ったときマルコさんがベッドへ入り込んできた。うひゃー冷たい。もう夜は寒いくらいだから。あ、お風呂は朝入るのかな?

もそもそとベッドに潜り込んできた冷たい温度にビクリと身体を強張らせていると、またさっきと同じ優しい声で名前を呼ばれた。ああ、マルコさんのそのあったかい声好きだなぁ。なんだか安心して今度こそ寝ようと思った。思ったのに…!


「…っ」


ななななんで後ろから腕を回してくるんですか…!私の背中から伝わるマルコさんの体温で眠気は完全に吹き飛ばされてしまった。な、なんてことなの…!これじゃあ眠れないじゃないか。明日も早起きしてお弁当作らなきゃいけないのに。この人はそれをわかってるんですかァァァ!
心臓がうるさい。ドキドキと激しく動いてる。耳からその音が聞こえてしまうのではないかというくらい。でもこのドキドキはいったい何だろう。さっき抱き合ったときにも感じた気持ち。だけど前にお風呂場でばったり会ってしまった時とは違う。もしかしてこれが…好きということなのかもしれない。ううん、きっとそうだ。ああ、こんなことならもっと経験しとけばよかった。
マルコさんといると楽しい。近くにいるとドキドキする。自分が彼のお嫁さんなんだと思うと、幸せな気持ちになる。


いまだにドキドキはおさまらない。眠気もそんなにないけど、背中から回された腕にそっと自分の手を重ねて目を閉じた。





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