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「ああっ、もうこんな時間…!」
今日はマルコさんの同僚さんがうちに来るらしい。仕事終わってからだから夕飯はみんなでうちで食べるみたい。っていうことはだよ、つまり夕飯は私が作るのであって、ああああっ!じ、自分の手料理を誰かに振る舞うなんて初めてだよ!うまく作れるか心配すぎる!一緒に暮らしてるマルコさんは手料理についてなんにも感想くれないし大丈夫かな…。
「えっと、たしか来るのはエースさんとサッチさんっていう人、だっけ?」
マルコさんが出がけに教えてくれた。顔にそばかすがあるのがエースさんでフランスパンみたいな人がサッチさん。どうせなら写真とか見せてくれたらいいのに。
そんなことを取り留めもなく考えていたのだが、ふと時計を見ればもう7時前だ。やっやばい…!
「急がないと帰ってきちゃう…!」
どどどどうしよう!予定では6時半過ぎごろ帰ってくるって言ってたからもういつ帰ってきてもおかしくないんだけど、無駄に焦るせいで作業が進まない。
「あとはお皿並べて終わり…!」
ガチャ
「ヒィィィィ!」
か、帰ってきた…!
「お、おかえりなさい!」
「おう」
ドタドタと足音立てて玄関に向かったのはちょっとはしたなかったかもしれない。けど今はそんなこと言ってられない。声をかければいつもどおり返してくれたのが嬉しい。おかげさまで緊張もほどけてニコニコ笑ってたらマルコさんの後ろにいた人たちがひょいと顔を覗かせた。そ、そうだった…!今日はお客様がいたんだった。
「こんばんはー」
「こっこんばんは…!」
つ、ついにこの時がきた…!
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