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「違う…」
先日購入した家具が家にやってきた。なんていったか…ドレッサーだったか?
aaaにセンス見せろと煽られ選んでみたが、何がいいのかなんてさっぱり分からず結局シンプルなものになってしまった。おれは別にこんなの使わねぇんだから、使い勝手とか自分で選んだほうが良かったんじゃないかと思うわけだ。
家に来たそいつを見れば見るほど、自分の家が自分のものじゃないように見えた。違う、とはそういうことだ。
べつに嫌なわけじゃない。ただ単に気恥ずかしいだけ。まさかこの年になって結婚するとは思っていなかったしな。
「はあ」
「マルコさん?」
「ああ、いや…なんでもねぇよい」
「そうですか」
思い出してみれば結婚が決まった時、社内は大盛り上りだったな。バナナの嫁になるのはどんな女だ!なんてバカなフランスパンが騒いでいたっけ。そこはパイナップルだろ、とつっこんでいたそばかすにパンチ食らわせたのはいい思い出だ。
「そういえば」
「はい?」
「今度同僚がメシ食いにうちに来るから」
「え!」
なんだ、なんかまずいことでも言ったか?
「や、そうじゃなくて」
「なんだい」
「ご、ご飯おいしく作れるかなって」
「ああ、そんなことなら」
大丈夫だって。
そう言ってやれば嬉しそうにaaaは笑った。
ああ、その笑顔は嫌いじゃねぇよい。
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