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夢なら覚めないで




夢をみた。
兵長に素直に接せれて、兵長の為にと買っては増えていく紅茶を兵長に振る舞う事ができた。
さらに一緒にご飯まで行く夢で、現実もこの位兵長へ素直な想いを伝えたいと思った。

夢の世界から覚めて、まぶたをうっすら明ける。
ああ、そうだ、私ハンジさんの部屋から戻ったあと寝ちゃったんだ。

外はまだ暗い。時間を確認するのが億劫だけどきっとまだ起床する時間にははやい。もう一度目をつぶる。



「……起きたのか?」


起きたのか?起き、たのか…?

背後から声がした。そういえば、背中に暖かみを感じる。誰かい…いる、確実に。
お腹に回された腕が動いてくすぐったい。


「起きるにははえぇからまだ寝てろ」


……兵長の声だ。
そう思った瞬間に一気に睡魔が飛んでいって、現在、何が起きているのか理解しようと寝起きの頭がフル回転する。

…服をきていない。そして、確実に隣で寝ているのは兵長だ。
わけがわからない。夢ではなかったのか。いや、私は夢を見ていたはずだ。じゃあこれは夢の続きなのか。


『兵長…あの……ちょっと…私…』

「んだよ、」

『理解できないんですが、この状況に…あの、その…』


兵長がめんどくさそうに上半身を起こす。
私も、毛布で胸元を隠すように上半身を起こす。兵長の顔を見れなくて、少し下に視線をやると筋肉質で美しい兵長の上半身が露になっていてそれはそれで見れなかった。

「言っとくが俺が無理矢理犯したんじゃねぇぞ」

『…今日は何日ですか』

「あっ?お前まだ酒抜けてねぇのか?今日は14日…日付けかわったから15日だ。」

私がハンジさんの部屋から戻った日は13日だった。つまり、あれは夢ではなくて、現実?
ハンジさんの作った謎の液体のせい?
ということは私は兵長に…?
え?嘘だよね?いや、今この状況を目の当たりにして嘘なわけないだろうし?
ちょっと頭がついていかない……


『…兵長、ごめんなさい』

なぜにか口から溢れた謝罪の言葉。
兵長は眉間にシワをよせた。

『昨日の記憶がないんです。』

「そりゃあんだけ飲めばな」

『ちが、くて。一日中の記憶が…正確にはないわけではないのだけど…ああ、なんて言ったらいんだろう…っ』

「ッハ、馬鹿にしてんのか?ナマエ」

『ちがいます…っ!ちがいます……あの、実は一昨日、ハンジさんが作った謎の液体飲まされてから…その………素直になれるからって言われて……でも、怖くて遠慮したんですけど……コーヒーの中に入れられて飲んじゃって………その……』


ハンジさん、という名前を出した瞬間兵長はさらに眉間にシワがよる。

「…じゃあ昨日のてめぇはてめぇじゃねえってことか?」

『……わかりません』

「わかりませんじゃねぇだろ。」


兵長が少し怒っているのが分かる。
だけど、どう説明したらいいのか分からない。
昨日の記憶はないけど、夢だと思っていたのが記憶で、でとその気持ちは嘘でなくて…


『兵長……あの、その…』

「なんだ」

『兵長のこと、好きなのは本当です…』

兵長に届いてるのか分からないような小ささの声しかでなかった。


「…なら、問題ねぇじゃねえか。ナマエ寝るぞ」

『え?』

「なんだその間抜け面は。」

『いや、だって…迷惑じゃないんです…既にこんな状況で迷惑かけてますし…』

兵長は大きな溜息をついた。

「昨日、責任は取るって言っただろ。…ああ、覚えてねぇのか」

『せき、にん…?』

「俺がそんなつめてぇ人間にみえるか?」

『…責任の意味がわかりません』

「…わかれ」

『教えてください』

「付き合ってやるって意味だ」

…それはどこかに買い物行くのを付き合うって意味ですか兵長。って出そうになった。
でもグッと堪えた。だって

『私の都合のいい意味にしかとれません』

「それでいいんだよ。ほら、寝るぞ」


無理矢理兵長に横にされて、後ろから抱きしめる形にされて、とりあえず目をつぶった。
兵長と触れ合っている素肌がきっと答えなのかもしれない。


「…ナマエ、素直になりたいからってハンジが作ったもん飲むな」


はい、としか言えなかった。


とりあえず今は寝て、起きてから考えよう。
きっと起きたらまた素直になれない気がする。だけど、兵長が言った責任という私の都合のいい解釈は嘘じゃない。


end.


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