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お月様のイタズラ




こんなにも好きなにどうして想いも伝えることができないんだろう。
どこが好きと言われたら少し難しくて。だって、好きなものは好きなんだもん。




「ぼーっとしてるとハゲるぞ、ナマエ」

『えっ、わっ、あ、兵長…!!』

「そんなとこで何やってんだ」

『え、あ、えと、これはその、えーっと…月を眺めています』

「月?」

『はい。今日は月がとても近づく日らしくて、いつもより大きく明るく見えるそうなので』

「ほう」

ハンジさんが、今日は月が近づく日で明るく大きく見えるらしいよ、と教えてくれたから、裏庭にでて月を眺めていた。
月を眺めていたら、兵長の事を考えだして、なでこんなにも私は兵長のことが好きなのかってぼんやり考えていたらまさかの兵長本人が現れて、これはお月様のお陰なのかな。


月を眺める兵長を横目で盗み見するように見る。
兵長は横顔も綺麗で思わず普通に見つめそうになる。



『兵長も月を見に?』

「…まあ、そんなとこだ」

『明るくて綺麗ですね』

「ああ」

『兵長も、座りますか?』

「わりぃな」


私だけ長椅子に座ってるのは申し訳なくて、そう言うと兵長は私の横に腰をおろした。

思いのほか兵長との距離が近くてドキドキする。

ただでさえ兵長と二人っきりで緊張しているのに、同じ椅子、しかも隣に座っていてこんなにも兵長が近いだなんて、心臓の音が兵長にまで聞こえてしまいそう。
あたりは時々風の音がする程度で、ますます自分の音とがうるさく感じる。

静まって、私の心臓。







幸せだ。
まさか兵長とこんな時間を過ごせるだなんて思いもしなかった。

この今の時間が永遠に続けばいいのに。





「ナマエ、そんなにみるな」

『え、あ、いや、も!申し訳ありません!』


無意識に隣に座る兵長を見つめていたようで恥ずかしくなる。
心臓の音がさらにはやくうるさくなる。

ああ、もう、穴があったら入りたい…。



「確かに、今日の月は明るいな。」

『はい。』

「…お前の真っ赤な顔までよくみえるぐれぇにな」


思わず隣を見ると、兵長と視線が合う。

そして、唇に何か触れて、兵長はじゃあなと去って行った。


私は口を押さえて、唇に触れたモノがなんなのか理解できなくて、私の赤い顔はさらに真っ赤になった。


お月様のイタズラ


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