疑似恋愛 | ナノ

あとがき+小話


完結まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

擬似恋愛の擬似は、本物によく似ていてまぎらわしいことと言う意味ですが、ここでいう本物は持田さんとまどかさんの恋愛(わかりにくい)で、似てるからお互いに肩入れした恋愛でしたって話、な感じです。

擬似恋愛は最初、共謀恋愛で堺がまどかを好きになる引き金として、脚を壊した持田さんがまどかに縋るという話を考えていた(結局ナシになりましたが)時に、持田さんも幸せにしたいと思い、派生的に出来上がりました。

今回、00と01を書いた後は書きたいシーンが頭から離れずにしかたなくそのシーンを書き、気がつけば終盤の話からどんどん埋まっていました。
書き上がっていた最初の方の話も、辻褄合わせで何度も修正が入りそうで(実際何度も入ってます)、公開出来ずにいました。
共謀恋愛が終わる頃には10話分くらい話は書き上がってたのに上げられず。
公開し始めたのは、完結してからでした。

反省点は、持田さんの話し方が謎のため、キャラ迷子なこと← (一番あかん)
というか、ぶっちゃけGKの人はあんまり話し方がわかんないかも。
基本、試合だから会話とか少ないし?
あと、年齢もわからないのでちょっと背景は作りにくい…。 持田さん25、6くらいなのかな??あとは、持田さんの気持ちの変化がまたもや表せなかった…orz
でも、ずっと支えてくれる人に心は揺らぐと思うんですよ。
主人公も、支えてくれた先輩や、持田さんに惹かれていくし。

サブタイトル*君の存在こそ僕が世界に愛されている証拠のひとつ*が、上手く表現出来たかわからんのも心残り。

とりあえず、持田さんが脚を壊してまどかさんに告った話と、式当日の持田さんとまどかさんのやりとりを番外で書かなければ。(事の発端のストーリーがメインから外れるという意外性)

色んないらない設定もあったが生かせず撃沈。
また頑張ります。


以下、小話。
若くしての引退話なので、嫌な人はこのままバックプリーズ。














「お疲れ様でした」

「ああ」

ぎゅっと抱きしめられ、お互いにそれ以外の言葉は口に出来なかった。

1試合に全てをかけるような持田さんのプレーは変わらず、長いとは言えない現役生活が、今日終わった。

何度も脚を壊しながら、ここまで最前線に立っていたことは奇跡らしい。
でも奇跡とはいえ持田さんの脚は完治することなく、もう選手としてピッチに立つこともない。
本人と周囲の強い希望により、好意で集まる選手達と東京Vチームで特別に引退試合が行われ、今日引退した。
持田さんの脚は前回の故障で、もう…日常生活にも支障を来すほど。
それでもフルでピッチに立ってボールを操っていたというのだから、信じられない。

時計の針が進む音だけが響く中、ぽつりと持田さんが口を開いた。

「…今日相手チームの監督してた、ETUの監督、脚壊した後行方不明になったかと思ってたら、海外で監督してたんだよ」

あぁ、きっと持田さんは…

「そんな先輩から一言つって、まだまだフットボールから引退すんじゃねーよ、早過ぎんだろって。俺の脚とか気持ちなんてお構いなしで言いやがった」

持田さんはきっと海の向こうに渡るつもりだ。
私は…ついていってもいいの?

爆弾を抱えた脚では、現役生活が何時まで続くかわからない。
その脚に結婚して私という枷までつけたいとは思わなかった。
あの時のような、孤独は嫌だ。
だけど私には、連れて行ってもらえるという確約はない。

「んで、泣いてんだよ」

肩が震え、持田さんのシャツを濡らしている事に気がつく。
何でもないと訴えるために、頭を必死に横に振る。

「お前、そういうとこ直せ」

ぐっと肩を掴まれ体を離す。
持田さんの真剣な目と私の涙で濡れた目がかち合う。

「何か思ったならちゃんと話せ。 俺はリカの気持ちが手に取るようにわかるなんてできた奴じゃねぇから」

はいと短く返事をすると、目に溜まっていた涙を持田さんが拭った。

「…新婚旅行は欧州巡るからな」

その言葉に驚き、さっき言っていた事と違うじゃないか!と思う。
私の不安、しっかりわかってくれている。

それから、プロポーズとも取れる言葉は持田さんらしくて思わず笑った。「結婚が、先じゃないんですね」

そういうと、何時でもできるだろとキスが落ちた。

「ずっと俺を支えるんだろ。 だったらずっとそばにいろ」




‐‐‐‐
持田さんの現役生活が長く続きますように!
逆夢をおこしにいこう。

ただ、持田さんはあの意志のもと監督出来るのか?
自分の脚が壊れたから、育てる選手にはそうならないように気を使うのかな?



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