カレーを食べた
「…………」
『…………』
「…………」
き、気まずい―――…!!!なに。なんなのこの空気!?重い重い重いめちゃくちゃ重いよ。今にも私押し潰されそうだわ…っ!
ただでさえシリアスな雰囲気嫌いなのに!シリアスな雰囲気は一ヶ月前のあの「アイゼン」とかいう激強の奴に殺されそうになった時だけで充分だっての。
―――ん?アイゼン?
今、目の前に立ってる白い着物の男の人が、「アイゼンさま」って言わなかった?ってことは、それって、つまり―――…
ぐぎゅるるぅー…
「………」
「………」
『…あは、』
…ばっ、バカ―――!!!!なんでこの状況で鳴るの私の腹ー!!KYにも程があんだろコノヤロウ!!確かに夕飯時でお腹空いてたけどね!いやでも空気読めよオイぃぃい!!
『と、とりあえず…ご飯食べませんか?』
「………」
「………」
穴があったら入りたいっていうか穴があったらその中で自殺したいです。
◇
『と、とりあえず…ご飯食べませんか?』
夏々のその一言により、俺は元宿敵とカレーライスを食べることになった。
――なんかよ、さっきからツッコミどころ満載すぎじゃねえか?ウルキオラが現れたことに関してはもう面倒くせえから今は置いとくとして、なんで一緒にカレーライス食ってんだ。
『たーんと召し上がれウルキオラくん』
いやそれ遊子が作ったヤツだよな。俺んちにウルキオラ連れてくのはマズいから、夏々んちまでカレーライス持ってきたんだよな、俺が。なんでお前が準備したみたいになってんだよ、おかしいだろ。
「…女。これは本当に人間が食う物なのか。まるで人間の排泄物みたいだぞ、大きい方の」
とりあえずお前は遊子に謝りやがれ。
『もうヤダなウルキオラくん。これはカレーライスっていうんだよ。食事中にウ●コとか言わないでよね。お下品でしょ』
「俺は別に直接ウ●コとは言っていない。大きい排泄物と言っただけだ。…お前の方が下品だぞ、屑が。そして俺のことはウルキオラと呼べ。"くん"を付けるな。捩じ込むぞ、塵が」
『今ウルキオラくんもウ●コって言ったじゃん。っていうか捩じ込むって何を?そして私は屑でも塵でもないよブッ殺すぞ』
「何を捩じ込むのか、だと?…決まっている。このカレーライスというウ●コ、」
「お前らは何を真面目に言い争ってんだよ!!!」
―――ウルキオラってこんな奴だっけ?今まで俺が見てきたウルキオラ像が崩れ始めた瞬間だった。