Tuesday




「…ナ……ミ………き……」

聞き慣れない声がした。いまだはっきりとしない意識ではその声が何を言っているのかさえ分からずに、ただ深い眠りを妨げられたことにほんの少しだけ不快感を抱いてしまう。こんなによく眠れたのなんて、一体いつぶりだろう。

「そろそろ起きなきゃだめだよ、ミナ」

自分に呼びかけているのだろう声が、けれど明らかに自分の名前を呼んでいないことに気付く。そしてその瞬間、急激に曖昧だった意識がはっきりしていくのが分かった。目を開けるのとほぼ同時、突然体を勢いよく起こした私に枕元に立っていた男の人は驚いたように目を丸くする。

「だ、誰…!?」
「ええ?誰って、ひどいな〜。お父さんだよ、パパだよ」
「おとう、さん…?」
「そうそう。寝惚けてないで、シャワーでも浴びてきたら?昨日お風呂入らずに寝ちゃっただろ。もう朝の9時半すぎだ。珍しいね、ミナが寝坊するなんて」

「朝ごはん準備してくるよ」そう言って"お父さん"が部屋を出ていくのを、私は呆然と見送った。お父さんっていうのは、私の?ううん、違う。この体の、天宮ミナのお父さんだ。

――そうだ、ここは夢の中なんだ。

「私、今まで、眠って…」

明るい窓の外の景色と、眠る前にはいなかったはずのお父さんが帰宅していること。それらから、一晩眠ってしまっていたんだろうと察する。ここは夢の中の世界のはずなのに、どうやら眠るという概念はあるらしい。おまけに、眠ったことによって疲れが取れた感覚まであった。どこまでもリアルな夢だと思う。

「んん…」

ぐっと背筋と共に腕を伸ばして身体をほぐす。気持よく眠れたからか、とても気分が良かった。

「…よしっ」

ぱし、と軽く自分の頬を手の平で挟んで気持ちを引き締める。いつこの不思議な夢から覚めるのかは分からないけれど、私が天宮ミナである以上、しっかり天宮ミナとして生きていかなくちゃ。夢の中でぐらい気楽になれないのか、なんて誰かに言われそうだけれど、長い時間をかけてすっかり馴染んでしまった自分の気質というものはなかなか変えることができない。まぁ、日本のことわざにも郷に入っては郷に従えなんてものもあるんだし、それが一番この夢の世界で穏便に暮らしていける方法だと思う。現実での私と違って、"彼女"は特に裏社会と関わりのなさそうな一般人だ。下手なことをしても、命の危機に晒されるようなこともない。

「…頑張ろう」

とはいえ、生まれた瞬間からすでにヒトではない私がそんな本当の一般人になりきれるのか、不安がないわけでもなかった。その不安を抑えて、気合いを入れて立ち上がる。まずはお父さんの言う通り、シャワーを浴びてすっきりしてこよう。夢の中でも変わらず蒸し暑い気候なようで、寝ていた体は汗で微かに湿っていた。

よく分からなかったけれど、一応何か着るものは持っていった方がいいと思って部屋にあった洋服ダンスから服を取り出して脱衣所へ。部屋のタンスの中に下着はなくて、脱衣所の引き出しの中からそれを見つける。自分のものだとは分かっていてもそれを身につけるのはとても気が引けた。でも、こればかりはしょうがないですよね。おずおずと引き出しから下着を取り出して分かりやすいところに置き、服を脱いで浴室へ入る。

「ひ、平たい…」

鏡に映る、見慣れない自分のものであって自分のものでない体に思わずぽろっと失礼な言葉が出てしまった。誰に聞かれてるわけでもないけれどはっとして、思わず口を抑えてしまう。

(人によっていろんな体型ってあるんだし、別におかしいことじゃないですよね…)

そう言い聞かせつつも、鏡の向こうの慎ましい胸元にこれってブラジャーいらないんじゃ、と思わずにはいられなかった。…ごめんなさい。

手早くお風呂を済ませて首にタオルをかけたままリビングの方へ向かうと、焼けたベーコンの良い匂いがした。見ると、カウンターキッチンの向こうにさっき私を起こしにきた男の人がエプロンを身につけて立っている。フライパンを火にかける傍らで、包丁を手に野菜を切っているようだった。

「ん?今日はお風呂出てくるのはやいね」
「え!えーっと、…あはは。そう、ですかね」
「なんで敬語なの?」
「な、なんとなく…」

つい癖で敬語で喋ってしまうけれど、よくよく考えれば家族相手に敬語なのはおかしい。昨日は咲ちゃんが「同じ敬語なのに」と言っていたから基本はいつもと同じ喋り方で切り抜けられそうだけれど、さすがに家族に対してはもう少しくだけた口調で話さなくちゃならない。さっそく気をつけなければいけないことを発見して、忘れないように頭にメモ書きをする。

「もうすぐご飯できるから、ちょっと待っててね」

こちらに向かってそう言って軽く笑いかけたお父さんに、私はためらいがちに返事をした。誰かに食事を作ってもらうことだって、もう何年も経験していないことだった。

この家で飼っているゴールデンレトリバーは、アルというらしい。私の足元に座り込んだ彼は昨日あげたものと同じドッグフードをぱくぱくと食べている。

「いただきます」
「い、いただきます」

レタスやトマトの盛られたサラダボウルと、ベーコンエッグとトーストの丸皿に、牛乳が注がれたシンプルなコップ。ごく普通の朝食であるそれらが並べられたテーブルは、けれど私が見慣れたモーニングのテーブルよりも食器の数がやっぱり多くて。家族のいる空間というものを改めて実感した。

「そういえば昨日の夕飯のカルボナーラ、すごいおいしかったよ。なんか作り方変わったね」
「あ…うん。ええっと、テレビでいいレシピを紹介していてね、変えてみたの」

始めはぎこちなかったけれど、徐々に会話は弾んでいった。いかにも温厚そうな雰囲気のあるお父さんは聞き役で、話を引っぱるのは私の方だった。現実での私は誰かと会話をするときはどちらかといえば聞き役の方が多いのに、どうしてだろう。目の前の彼の何倍もの時を私は生きてきたはずなのに、まるで本当の娘であるみたいに、この人の前では童心に返っていくような不思議な心地がした。

「そういえば、今日は風紀委員の呼び出しはないの?」

そうお父さんが言い出したのは、とっくに食事を終えて、手伝っていた後片付けも終わりかけていた時のことだった。キュッと蛇口を締めながら首を傾げたお父さんに、テーブルを布巾で拭いていた私は「え?」と間抜けた声を返す。風紀委員?風紀委員って――…

『今日寝こけていた分、明日は働いてよね。10時に応接室だよ』

耳慣れた声で頭の中で再生されたそれに、私がさっと顔を青ざめさせたのを見たんだろう。お父さんが控えめな調子で大丈夫かと聞いてきたけれど、もはやそれどころじゃなかった。壁にかかった時計に視線を向ければ、さらに焦りが増したのが自分でも分かった。時刻は10時半。すでに約束の時間を過ぎている。

「ち、遅刻…!!」

慌てて脱衣所へ向かって、一晩履いたままだったさっき脱いだスカートを掴む。リビングの方から「洗ったセーラーはミナの部屋に畳んで置いてあるよ」とお父さんの声がした。セーラーがいまいちよく分からないけれど、きっと制服のことだろうと思う。今度は二階へ駆け上がって部屋に入り、そのままさっき着たばかりの服を脱いだ。

「今日お父さん午後から仕事だから。7時頃には帰ると思うけど」
「う、うん…!」
「本当はお兄ちゃんが今日は当番だけど、合宿で疲れてるだろうからミナが夕飯作ってあげてね」
「分かった」

脱ぐ時に構造を覚えていたのが幸いして、セーラーを着ることに特に苦労はしなかった。タイを上手に結べたか少し自信がないけれど、見た感じは問題ない。何を持っていけばいいのか分からなかったから昨日持っていた鞄をそのまま肩にかけた。ローファーに足を差し込んでトントンと踵を入れ込んでいると、お父さんがエプロン姿のまま玄関まで出てくる。

「いってらっしゃい。気をつけてね」
「!」

ドアノブに手をかけたところで背後からかかった声に、私は思わず動きを止めて目を見開いた。この言葉も、最後にかけられたのは遥か昔の遠い日。誰もいない空間に放ることが当たり前になっていた返事の言葉も、今は向ける相手がすぐそばにいる。

「いってきます」

今度こそ扉を開けた私は振り返らずに駆け出した。ゆっくりしている暇はない。昨日は並盛中から家まで徒歩で10分弱ほどかかった。走ったら、迷いさえしなければ5分あれば着くだろうと思う。約束していたよりも1時間近く遅れてしまうんだから、恭弥くんにはしっかり謝らなくちゃ。

頭では恭弥くんのことを考えつつも、口元が緩んでしまうのは許して欲しい。いってきますと言った声が少しだけ震えてしまったことも許して欲しい。

――家族がいること。それがこんなにも幸せなことなんだって、久しぶりに思い出してしまった。



 ◇



学校に着き、昨日覚えた自分の下駄箱で靴を履き替えた私は応接室に小走り気味に向かっていた。今日は部活動もほとんど行われていないのか、校舎内に人の気配はあまり感じない。夢の中でも、今は夏休みの最中なんだろうか。

(…天宮さんは、風紀委員だったんだ)

昨日の恭弥くんと、さっきのお父さんの言葉からそう思い当たる。恭弥くんに呼び出されたのは、委員会の仕事をするためだったのだ。わけも分からず呼び出しに応じてしまったけれど、ようやくその理由に合点がいった。それと同時に、ぼんやりと形が曖昧だった彼女と恭弥くんの関係も少し輪郭が見え始める。

(でも、どうしてこんな制服なんだろう…?)

夢の中の世界に来て、流れに乗ってここまで来た状況から察するにこの体の持ち主である天宮さんが並盛中の生徒であることに間違いはないだろうと思う。だけど今着ているこの制服は、私が知っている並盛中のそれとはまったく違っていた。

(そもそも、これって夢なのに…私の知らないデザインの服が出てくるなんて不思議)

そんなことを考えているうちに、ある一室の前にたどり着いて私は足を止めた。

「応接室は…ここで合っていますよね…」

扉の上部に掛けられている部屋の名前が書かれたプレートを確認する。間違いない。ここは恭弥くんが根城としている部屋だ。

(まずは遅れてしまったことを謝ろう)

謝り文句を頭に浮かべながらノックをする。すると間もなく「どうぞ」と部屋の中から声がした。

「失礼しま」

がちゃ、と音をたてながら扉を開いた時だった。言いかけた言葉が不自然に途切れる。開けたと思った視界に、鈍くきらめく金属の塊が急激に飛び込んできたからだった。咄嗟に身体を捻ってそれを避ける。私の顔の真横を過ぎていった銀色は、巨大な弾丸のように背後の壁に突き刺さった。

「…きょ、恭弥くん……?」
「遅い」

ずば、と言い放った恭弥くんは、扉を開けたその真正面側に位置する執務机のようなところに座って何か書き物をしていた。その目はこちらに向けられずに、表情は澄ましていて得物を人に投げつけたあとのようにはまるで見えない。出会い頭に突然攻撃されて、さすがに少し戸惑ってしまう。

「あの、恭弥くん、ごめんなさい。遅れてしまって…」
「……トンファー、とってきて」
「…分かりました」

言われた通り、部屋の外の壁に刺さったままのトンファーを引っこ抜く。深々と金属が突き刺さったそこからは、ぱらぱらと壁の破片が落ちて廊下の床を散らかした。壁に刺さるほどだなんて、一体どれだけの威力で投げつけたんだろう。避けられたからいいものの、当たっていたら大怪我ものだ。

「どうぞ」

執務机の前に立ち、座る恭弥くんにトンファーを手渡す。一度私の顔を見上げた恭弥くんは、静かにそれを受け取ると再び視線を机上に戻した。なんでもないことのように、恭弥くんは言う。

「壁の修理費は君が出してね」
「え!?」
「僕に武器を振るわせた君が悪いんだろう」
「そんな…」

確かに遅れてしまったこちらに非はあるけれど、壁を壊した責任までとらされるなんて。あまりに理不尽な要求に唖然としてしまう。恭弥くんって、こんなに横暴な人だったっけ?一癖も二癖もある人であることは理解しているけれど、こんな意地悪なことを言ってくるだなんて思いもよらない。

「壁に穴を開けたのは私ではなくて、恭弥くんです。修理費なんて出せません」

静かに、だけどきっぱりと抗議の声をあげる。その瞬間、眼前に再びトンファーが迫った。さっき投げつけられたよりも早いスピードだった。本日二度目の不意打ちの攻撃をまた同じように避けると、次いで今度はその避けた先にもう片方のトンファーが私の側頭部を打とうとやってくる。

「っ…!」

避けきれない、と思った。絶妙な軌道を通って振るわれた鋼鉄の棒は、一発目を避けた時に傾けた身体が急激に動くことができないギリギリの位置とタイミングを的確に狙って私を襲う。戦闘センス無くしては出来えない動きにさすがだな、と内心舌を巻いた。腰元に差し入れた手に、あるものが握られていることを確かめながら。

キィン、と金属同士がぶつかる甲高い音が響く。上手く衝撃を流したつもりでも、その強力な攻撃に腕を伝ってびりびりとした感覚が走った。

「へぇ…。いつの間にそんなもの持ち歩くようになったわけ?」
「………」

トンファーを受け止めた、私が構えるナイフに恭弥くんは目を細める。握った得物越しに、恭弥くんの力が強まったのを感じた。

私が腰元に隠し持っていたそのナイフは、昨日の夕飯を作る時に見つけてキッチンから拝借したカバー付きの果物ナイフだ。何かの役に立つかもしれないと思って、あまり普段使われていなさそうなものを選んで持ち出してきたものだった。

「まぁ、なんでもいいけど…。この学校での武器の携帯は僕以外に認めてないよ」
「!」

不意にトンファーを旋回させてナイフを振り払ったかと思うと、恭弥くんは私の胴部を狙って足を蹴り出した。慌てて背後に飛び退いてそれを避けるも、当然のように恭弥くんは素早い動きで畳み掛けてくる。

「!?」

どうしてこんな理不尽に攻撃を受けてるんだろう。やっぱり遅刻したのがいけなかったのかな。もっと早く今日の約束を思い出していれば。猛攻を避けつつ否しつつ、途方に暮れてそんなことを思っていた。けれど突然、自分の足にもう片方の足が引っかかってバランスを崩してしまう。普段ならありえない失態に、ひやりとする。

(まだこの体の感覚に、慣れてないからだ…!)

倒れていく体にそう心当たりがついた。元の自分の体と身長も違えば体重も違う。手足の長さだって同じであるはずがない。急な体の変化に、感覚がついていけていないんだと思った。

「きゃ!」

そのまま転げた私は強かにお尻を床に打つ。それと同時に自分の手の中で何かが折れるような、バキッという音がした。

「…何してんの」
「え、ええっと…。あはは…」

突然馬鹿みたいに転んでしまった私を、恭弥くんが冷めた目線で見下ろしてくる。いかにも「萎えました」と言うような顔だった。溜息をついたあと、構えていたトンファーがおろされる。

「…なんだか、やはりいつもの君と違うな」
「え」
「挑発しても、頭に血が上っている様子がない。いつもの君なら、攻撃を否すなんて行儀のいいこともできない」
「………」
「まるで、違う人間が乗り移ってるみたいだね」

その言葉に、分かりやすく肩が強ばったかもしれない。なんて勘の鋭い人なんだろう。実際、まさにその通りだった。

「…どっちにしろ馬鹿なところは変わってないようだけど」
「!」

呆れを多分に含んだ声に顔が少し熱くなった。今更ながら、派手に転んでしまったことに恥ずかしさを覚える。

「萎えた」

やっぱり。予想通りの言葉を吐いて、仕込みトンファーを畳んだ恭弥くんは執務机に戻っていく。気まぐれな嵐が今度こそ去っていくようで、ほうと安堵の息を吐いた。

「…ん!?」

だけどそれも束の間、何気なく目を向けた手の中に柄の折れたナイフを見つけてぎょっとした。ついさっきまではなんともなかったのに、いつの間に折れたんだろう。しかも恭弥くんのトンファーを受け止めた刃の部分ならまだしも、柄だなんて。

(さっき…私が強く握ったせいで折れたの?)

転ぶ瞬間、確かにナイフを握る手に力が入ってしまったかもしれない。そういえばその時に変な音を耳で拾った覚えもある。でも、いくらなんでも折れたりするわけがない。折れてしまうほどナイフが老朽化していたようにも見えなかった。

「……?」
「いつまでぼうっとしてるわけ」
「! わっ」
「昨日もサボった上に、今日は遅刻してるんだ」
「ご、ごめんなさい…」
「働け」

今度頬を掠めたのはトンファーではなくて鉛筆だったけれど、こちらを睨む恭弥くんからただならぬオーラを感じて少し身が竦んだ。慌てて折れたナイフを拾って立ち上がる。

「この書類全部シュレッダーにかけてきて。のろのろするなら咬み殺すよ」
「草食動物を咬み殺してくるから、ここの掃除しといてね」
「お腹が空いた。…はぁ?君が買ってくるに決まってるでしょ。さっさと行ってよ。咬み殺すよ」

――それから、それはもうあれやこれやと用事を言いつけられてあちこち動き回った。これってもしかして、俗に言うパシリというものでは…。天宮さんは、いつもこんな風に恭弥くんに扱き使われてるんだろうか。

「でも…どうしてだろう…。プリン、もらっちゃった」

一通り仕事が終わったあと、恭弥くんは私の頭の上にプリンの入ったカップを乗せてきた。「明日も10時」そう言い残して、恭弥くんは応接室を出て行った。最後に校内を見回りしてから帰るのだという。施錠は恭弥くんがするから、見回りが終わるまでに私は学校を出なければいけないようだった。

「働いた分の…お駄賃…みたいなものなのかな」

きゅ、と薄黄色で満たされたカップを握る。何を考えているのかよく分からなくて、意地悪で、優しいなんてものとは程遠くて、私の知る恭弥くんとは同じようでどこか違うこの世界の恭弥くん。だけどそんな恭弥くんは、ただ私が知らないだけの恭弥くんの別の一面に過ぎないのかもしれない。どうして貰えたのかよく分からない手の中のこのプリンが、私の知らない恭弥くんと彼女の間にある繋がりを象徴しているようで、なんだかずるいな、なんて思ってしまう。私の知らない恭弥くんの一面を、この体の持ち主は知っているのかもしれない。それを少し、羨ましく思う。

(私の知らない恭弥くんを、もっと知りたい)

そう思ってしまうのは、私が恭弥くんに想いを寄せているからなんだろうか。

The next day has not come ...

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