その後の話



「…でね、聞いてくださいよ。かくかくしかじかで校庭を獄寺が持ってたダイナマイトでどかーんとね、やっちゃったんですよ!すごくないですか……ぎゃふっ」

「僕の学校を爆破させるなんて、君、ケンカ売ってるの?」


得意気に言ってみせたヤミの頭に、容赦なく飛んでくるトンファー。いい加減殴りなれてきたヤミは、目に涙を浮かべながらも口を尖らせ雲雀に反論する。


「良いじゃないですか。結果的に学歴詐称してたあのメガネオジサンを解任することができたんですから」

「そういうのは結果論っていうんだよ。だいたい、爆破された校庭を直すのにどれだけ費用がかかると思ってるんだ」

「……どれぐらいですか?」


おそるおそるといった感じで尋ねるヤミに、雲雀はニヤリと笑みを作る。そしてその手で拳を作って、ヤミの前に掲げてみせた。


「…………」


一本、また一本と立っていく雲雀の指。その様子を見る度、ヤミの顔が青ざめていく。そしてとうとう、雲雀の10本の指すべてが立ってしまった。


「…あの、雲雀くん。それって単位は………」

「―――…、」

「!?」


耳元で囁かれた数字に、ヤミは顔を真っ青にさせて、慌てた様子で思いっきり頭を下げる。ガツンガツンと高級感漂うローテーブルに頭を強打するのもお構いなしだった。


「…クス」

「え?」

「君、面白いね。今のはただの冗談だったのに」

「は…、」


冗談、冗談――…?その二文字の言葉が、ヤミの頭の中をぐるぐると回っていた。目の前にはニヤニヤと笑う雲雀の姿。何故この男は笑っているんだろう。ヤミの頭に疑問符が浮かぶ。冗談、冗談、冗談―――…


「冗談!?」

「反応遅いよ」


ぴしゃりとツッコミをいれる雲雀。ヤミの顔はさっきまでの真っ青なものから一変、みるみるうちに赤く染まっていく。徐々に荒くなっていく鼻息。それを見て、雲雀はますます面白がって、ついにはお腹を押さえだした。


「あたしをからかったんですね!ひどいです!」

「そっちが勝手に騙されたんでしょ」

「ええい、うるさい!ドSな雲雀くんなんか、こうしてやるっ」



ぷにっ



「………なにしゅるの」


雲雀の両頬をつまみ、ぐいぐいと引っ張ったりつねくったり。ヤミはしてやったりと言わんばかりににったりと笑った。そんなヤミを、雲雀は眉間にシワを寄せ睨み付ける。…といっても、頬をつままれた姿では全くもって怖くはないが。


「ひみ、いいどひょうしてりゅね…」

「へっへーん!全然何を言ってるか分かりませー………んひゅ!?」


今度は雲雀がヤミの頬をつまむ。しかも、ヤミのとは比べものにならないほどのものすごい力で。


「いっ、いひゃい!いひゃいです!」

「…ハッ。ほふにへをだひはふひはおおひいよ」

「うー!負けましぇん…!」


ぐいぐいぐい、ぐいぐいぐい、互いに思いきりつねくり合う。二人の頬は既に真っ赤になっていた。それでも二人は飽きることなく続けた。雲雀も、ヤミも、筋金入りの負けず嫌いだったのだ。


「……ッ!」

「い、う…!」


この二人の戦いは、草壁が応接室に訪れて体を張って止めるまで続いたのだった―――…






その後の話
二人とも 落ち着いてください!

 
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