百合さんより
「次はこれ」
「雲雀くん、これ重くない?というか重いんだけど。どういうこと」
私の両手に書類がこれでもかってくらいずっしりと乗せられた。重い書類のおかげでふらりと、よろめいてしまう。私は雲雀くんの彼女なだけなのに、なんで仕事をやらされてるんだろう。私は関係ないから、
「風紀の仕事は一人でやればいいのに」
「心の声もれてるもれてる」
「はっ!しまった」
雲雀くんに睨まれる。なんというか、雲雀くんは目で人を殺せるんだと思うんだけど。というか、もう目で人を殺してそう。
「変なこと考えてないで、仕事しなよ。休憩時間いらないなら、いいけど」
「頑張ります!」
休憩時間が削られるのは嫌なので真面目に仕事をする。書類をまとめる作業なんてずいぶん手慣れたものだ。以前はあんなに焦ってやっていたのに、すごいや。
***
「つっかれたぁ…!」
真面目に仕事を始める前は、まだ太陽が真上にあったのに、いつの間にか夕暮れになっていた。雲雀くんは休憩しようかと珍しくコーヒーをいれてくれた。
「ありがとう」
「別に」
雲雀くんがいれてくれたコーヒーは美味しいんだよね。頬を緩ませながらコーヒーを飲んでいると、雲雀くんが突然独り言を始める
「君は飲めないよ。それにこれは苦いし、熱いから火傷する」
「?」
ちらりと様子を伺うと雲雀くんの肩には黄色い小鳥がいつの間にか乗っていた。黄色い小鳥は雲雀くんが飲んでいるコーヒーに興味津々だ。なるほど、それで雲雀くんが小鳥に説得しているのか。熱心になって説得している光景は思わず悶えてしまいそうだ
「…名前、君は何ニヤついてるの」
「んー、別にい」
こうやって長いこと雲雀くんの隣にいるといろんな発見ができる。もっと雲雀くんのことが知りたいって思える。
「だから、私は雲雀くんについていけるんだろうなあ…」
「何の話?」
「ううん、こっちの話」
知りたいと思うからこそ雲雀くんについていける