百合さんより


「この書類、まとめておいて」

「あ、はい!」

委員長が確認した書類を受けとって、最初の仕事に取り掛かる。私は、風紀委員会の秘書をしている。とりあえず、委員長の雑用係だ

委員長の役に立つことが私の望みだ。だから、委員長にはあまり迷惑をかけたくないし、心配もかけたくない

「そこはそうじゃなくて」

「はい、すいません…」

「君は覚えが悪いね」

「すいません…」

また、委員長に迷惑をかけてしまった。書類のまとめ方が違うと前に叱られたのに、今日も同じことで叱られてしまった。どうしようもなく、複雑な気持ちになる

委員長の役に立ちたいのに、迷惑ばかりかけてしまう…

あ、やばい。涙が出そう。すぐに泣いてしまいそうになってしまうのは、私の弱さのせいだ。もっと委員長みたいに強くならなきゃ

「…君が一生懸命なのは、僕が一番理解してるつもりだけど、」

「……え?」

「もう少し僕を頼ったらどうなの」

「委員長…」

「わかった?」

「は、はいっ…!」

たまに優しい。別に嫌いじゃないんです。飽きられている顔も、怒ってる顔も、優しい顔も。ほんの少しだけ、優しくされるだけで、涙が引っ込んでしまうのだから、やっぱり委員長はすごい

「手を止めない」

「す、すみませんっ」

注意をされて、書類のまとめの仕事を再開した。今度は間違えないようにしないと。…とは言ったものの、いつの間にか書類の山になっていた。さすが委員長。一人では今日中に終わりそうではない

「あのっ…委員長」

「何」

「手伝ってもらえませんか…?」

「ん、仕方ないから手伝ってあげる」

「ありがとうございます…!」

どうしようもなく嬉しい気持ちになってしまうのは、委員長が好きだからだ。この気持ちは、まだ委員長には内緒



さりげなく、優しい
(ずっと委員長についていこう)
そう決めたのはいつだっけ
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