馬鹿な君に送る、


彼女が、任務から帰ってきた。

その任務はとても簡単なものだった。だから彼女一人で行かせた。彼女一人で任務に行かせるのは、これが初めてだった。彼女は任務に向かう前にこう言った。


「わたし任務ひとりで行くの初めてです。すごくドキドキします。初めてだけど、わたし頑張りますね!あ、そうだ。雲雀さんお土産何が良いですか」


任務から帰ってきた彼女からお土産を受け取った。任務先の土地の名産品らしい菓子を口に含むと、それはすごく甘かった。


「…不味い」


不味い。僕の口には合わなかった。哲に淹れさせた緑茶で、口の中に残った甘ったるい味を洗い流す。ああ、本当に不味いな。何の菓子だよこれ。


「お口に合いませんでしたか?なんか他のお菓子、任務先まで戻って買ってきます。ごめんなさい雲雀さん!」


そう笑いながら言うであろう馬鹿な彼女は、今朝財団のアジトに帰ってきた。なんかよく分からないけど、もう目を覚まさないらしい。ここに帰ってくる途中、ボンゴレと敵対関係にあったファミリーの奴に銃で撃たれたんだっけ?どうでもいいよ。そんなこと。

つくづく馬鹿で阿呆でドジで間抜けな女だ。考えるだけで、なんか、目から汁みたいなものが出る。


『風紀委員長さん!わたし貴方のこと好きです。付き合いませんか?』


初めて会った時から、馬鹿だとは思ってたんだ。


『風紀財団?ボンゴレ?わたしも入れてください!』


本当に、馬鹿な女だったんだ。


『雲雀さんが喜んでくれるような、すごいお土産買ってきますね!いってきます!』


こんな不味いもの、買ってくる必要なかったのに。こんなもの買うために寄り道しなければ、敵対ファミリーの奴に鉢合わせする事もなかったのに。


「馬鹿じゃないの。名前」


どうして僕は泣いてるんだろう。



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