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サソサクが木の葉に戻らない上で旅してるって設定で。サクラちゃんは年頃の女の子だしそういうことがしたい盛りだろうとか考えたサソリが街に下りてそれ目的の男を捕まえてやってきたらどうだと提案してくる(自分はしてやれないからと大真面目に)。それにサクラちゃんキレる。「何考えてんのよ!?そんなことできるわけないでしょ!」良かれと思って言ったのに怒鳴られたのでサソリもキレる。言い合いになるサソサク。「アンタはっ、私が知らない男にエッチなことされても何とも思わないワケ!?」ぼろぼろ泣き出すサクラちゃん。サソリ困惑。(何を必死になってる?別にそんなモン、何とも…)自分は心を殺したから感情なんてないと、そう思っていた時期が長かったから、自分が嬉しむはずがない楽しむはずがない悲しむはずがないと決めつけてしまう癖が抜けきれないサソリ。嫉妬という言葉も知識として知ってはいても、まさか自分にそんな感情があるなんて思いもしていなかった。だからそこについてはあまり深く考えていなかった。自分とずっと一緒にいると言ってくれたサクラちゃんが性を体験しないまま歳をとっていくのは気の毒だろうとサソリなりに気遣ってのことだったけれど。サソリは、サクラちゃんが知らない男に抱かれているところを想像する。ぐちゃぐちゃもやもや。眉間に皺が寄る。「…嫌なもんだな」ぼそりとサソリが言う。「え?」「気が変わった。今のはナシだ。そんなもん、やめとけ。…忘れろ」「ハァー!?」自分から言ってきた癖に勝手に話を切り上げられた。横暴なサソリといればよくあることだけど内容が内容だったのでまたサクラちゃんキレる。「うるせェ」サソリが言ってもサクラちゃんはキーキーいろいろ言ってる。その声に紛れてサソリがまた言う。「俺以外にテメェが抱かれるのは、嫌だと思ったって言ってんだ」ぴた、とサクラちゃん止まる。「………もし、そうなったらどうするの?」「さァな…。とりあえず相手の男は殺しちまうかもな」「………」「…だから、悪ィがお前に男の味というものは教えてやれない。俺は、傀儡だから、そういうことはできない。お前は、一生知れないかもしれねェ。俺といる限りはな…」無表情でそう言うサソリだけど、サクラちゃんにはその顔が悲しそうに見えた。「…安心しなさい」サクラちゃんが言う。「私、自分の身体を安売りするつもりなんてこれっぽっちもないんだから。本当に、本当にこの人が良いって、そう思う人にしかあげる気はないのよ。とっても高くつくんだから、私。…そんな買い手が、本当はもういるんだけどね。でも、その人にあげられないんなら…私は…一生このままだって構わない!」「!」サソリが目を見開く。少しの間やたらと頼もしい表情をするサクラちゃんを見つめて、それからふっとそっぽを向く。「……たいして胸もでかくないくせに、よくもまァ、高いだなんて言えたもんだな」「なっ、私、今、真剣にっ!ああっもう!バカ!!!」サソリはそっぽを向いてるから見えないけど、なんとなく顔を真っ赤にしてプンスカ怒るサクラちゃんが想像できてしまう。サクラちゃんに聞こえないくらいの小さな溜息をつくサソリ。おそらく、きっと、傀儡の体じゃなければ自分の顔は彼女よりももっと馬鹿みたいに赤くなっている。そう考えると傀儡で良かったと思うサソリ。(…けど、この身体じゃなけりゃ……アイツを抱けた。触れれば温もりを感じられた。アイツに人並みの愛とやらを与えてやれたかもしれねェ……)惜しいな、と小さくサソリが呟いた。

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