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「わっかんない……」
「ならば人事を尽くせ。その為の勉強会だろう」
「うぅ――ん…」
定期テストを間近に控えたある日の放課後。教室に残って緑間と共に居残り勉強会を開いていた私は、問題集を見つめ低い唸り声をあげた。長い問題文を見ただけでお腹がいっぱいで、到底解ける気がしない。机を挟んで私の真正面に座る緑間は、涼しい顔をしてさらさらとノートにシャーペンを走らせていた。
「緑間ぁー、教えてー!」
「馬鹿め。最初から教えていては何の意味も無いのだよ。まずは自力で解け」
「えぇ…」
教えてもらう為に緑間と勉強会してるのに!…まあ、緑間が言っていることはごもっともである。仕方なくシャーペンを手に取り、長い文章に再び目を遠してのろのろと問題を解いていく。うむ、正解してる自信が全然無い。
「………おい」
「ん?」
「ここは、こうなのだよ。この公式を応用するんだ」
「うん…?」
いまいち頭の回転がよろしくない私に溜め息をつきつつも、分かりやすく丁寧に教えなおしてくれる緑間はやっぱりなんだかんだ優しい。お馬鹿さんな私だが、ここは一語一句聞き漏らしがないようにしなければ。緑間が書く計算メモと問題文を必死で目で追いながら、拙い脳味噌をフル回転させる。
「…ええっと、じゃあここがこうなるわけ?」
「ああ。そうなると、ここがいくつになるか分かるか?」
「んん…………あっ!」
ピコーンと頭の中で電球が点った。それまで無意識に片手で弄んでいたペンでざかざかと数式を解いていく。そうして問題を解き終えて、見直しして、もう一回見直しして、模範解答と照らし合わせてみた。
「み、み、緑間!合ってる!」
「そうか」
「ありがと緑間!愛す!」
「…フン。」
本気でいつ書いたのか覚えのないものをたまたま発掘したので供養
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