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「っはー、今日も朝練頑張ったわー。高尾君マジお疲れさまー」

「何を一人で言っているのだよ、くだらん」

「おい真ちゃん。今のはオレに便乗して、お疲れ様なのだよ高尾って言うトコだろー?ま、期待は全くしてなかったけど」

「…フン」


そんなこんなでいつも通りの平日午前八時過ぎ、今日も今日とて朝っぱらからバスケの練習をしてきたオレ達は体育館を出て教室へ。緑間はやっぱノリ悪いツンデレだった。



「あ、高尾君に緑間君。おはよう!」

「はよー」

「おー、おはよ……って何やってんの!?」

「………」


教室に着いて自分の席に近付けば、そこにいたのはオレの隣の席の苗字ちゃんと彼女と仲の良い吉澤。そこまではいつも通りだけど、何故か吉澤の背中に苗字ちゃんが乗って、所謂おんぶをしていた。


「名前、今おんぶがマイブームなんだって。だからうちが付き合ってやってんの」

「マイブームて」

「あ、あのね!なんか人肌がすごい近くに感じれて気持ちいいんだよ。眠たくなっちゃうぐらい!」


なんじゃそりゃ。顔を少し赤くして力説してくる苗字ちゃんに微妙に笑いが込み上げてくる。確かにオレも、小さい頃とか親にやってもらってその背中の上で寝たことある気がするけど。でもそんなのはかなり昔の話で、オレも苗字ちゃんももう高校生だ。それなのに今更おんぶがマイブームだなんて苗字ちゃんってば相変わらずズレてんなー。…ま、真ちゃんほどじゃないけどね。


「高尾君もおんぶしてもらえばいいよ!緑間君に」

「ブハッ」

「なっ、俺を巻き込むな!」

「真ちゃんがおんぶとか…っ!乗りたくも乗られたくもねー!ひーウケる」

「高尾、貴様…」


思わず吹き出したらめっちゃ睨まれた。おー怖ぇ。でもしょうがなくね?二メートル近い仏頂面の大男がおんぶは重いし絵的にだせえし、そもそも真ちゃんのキャラ的におんぶってのがミスマッチすぎて…ぶふっ。というか何が嬉しくて野郎同士でおんぶなんかせにゃならんのか。どうせなら苗字ちゃんをおぶって、さりげなく太ももにでもおさわりしたいところだ。と、男子高校生にありがちな邪な考えが頭を過った時、苗字ちゃんをおぶっていた吉澤が口を開いた。


「じゃー名前と高尾がおんぶすれば?」


吉澤ナイス。






「ふんっ…ぐぬ、ぬ…!」

「頑張れ名前!」

「苗字、お前ならやれるのだよ」

「…………」


――いやなんかちがくね!?

何故か苗字ちゃんにおぶられているオレ。何故だ。緑間も吉澤も、もちろん苗字ちゃんも、誰もつっこまない。何故だ。


「私ね、おんぶする側も好きなんだ…!」

「でもわざわざオレをおぶる必要はなかったんじゃない!?」

「大丈夫。高尾君痩せてるから重くないよ」

「足すごいガタガタしてるけど!?」


男のオレに比べればだいぶ小さい背中に抱えられているわけだが、これ結構地味に怖い。ものすごい不安定だ。いつ落とされるか分からないこのスリルたまらないね!とか言ってる余裕はあんまなかったりする。今にも崩れ落ちそうな苗字ちゃんは必死すぎて気付いてないが、声援を送る吉澤と緑間は笑いを堪えていた。ちくしょうてめえら覚えてろよ。…あ、苗字ちゃんのシャンプーの香り。柑橘系の良い匂いだな………ってうおい、くんかくんかしてる場合じゃねーってオレの馬鹿。


「あのね苗字ちゃん。ほんと無理しないで下ろしていいんだよ」

「私おんぶするの好きだからいいの」

「ごめん言い方変える怖いから下ろしてください!!」

「ブフッ」

「おい緑間てめー笑うな馬鹿!」






オチが見えなくなったので中途半端で終わる。高尾におぶられてみたい。

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