やさしい音たち



ごろりと寝返りを打つと、左腕が縁側から落ちた。まあいいか、なんて思いながら耳を澄ます。すぐそばで、ニルスくんがガンプラの部品にやすりをかけている音が聞こえた。リズミカルなそれはニルスくんの器用さを物語っている。思わず、鼻にかかった笑いをこぼしてしまった。

「起きたんですか」
「ずっと起きてたよ」
「ふうん」

ニルスくんは私の嘘を見抜いているけど、あえて気づかないふりをしている。首を少し動かすと、ニルスくんは口元をほころばせ、涼しげな瞳で私をじっと見ていた。へらりと笑って返す。

「名前、寝ぼけているんですか?」
「そんなことないよ」

黄色い太陽が私たちに降り注ぐ。ちょろちょろ流れる水と、鹿威しの、かこんという乾いた音が心地好い。私はその辺に置いてあった戦国アストレイのパーツをつまみ上げ、かざすように見た。

「名前、くれぐれも壊さないでくださいよ」
「大丈夫大丈夫」
「大丈夫って、前に一度壊した、」
「へーきだってばぁ」

ころころとこねくりまわすと、ニルスくんはため息を吐いた。私が二度も同じ失敗を繰り返すとでも思っているのだろうか。

「ニルスくんさぁ、ガンプラ楽しい?」
「急ですね」
「ねぇ、楽しいの?」
「まあ、はい。最初はそんなこと思ってませんでしたけど」

照れ臭そうなニルスくんは、私の手からパーツを奪う。手持ちぶさたになってしまった。

「私もガンプラ作ってみようかなー」
「本当ですか?教えますよ」
「私にできると思う?」
「僕が教えるんですから、できないと困ります」
「風評被害ってやつだ」
「そういう言葉は知ってるんですね」

ニルスくんの中で、私は随分と低い評価をつけられているらしい。でも、それでもいいや。

「何を作ります?」
「かっこいーの」
「名前が思うかっこいいの定義がわかりません」
「んー、鹿威しとか?」
「……バカですね」

失礼、と言って叩こうとしたけど、私の手はニルスくんに届かなかった。代わりに、置いてあったパーツが飛んでいく。ニルスくんが叫ぶ。私は笑う。水は相変わらず、ちょろちょろと流れていた。



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60万リクエストで頂いてきました!
ニルスくんが可愛いです!
アニメ終わってしまってもニルスくんが大好き!





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