カミュの優しさ




別に嫌いじゃないし好きでもない。いや、嘘。大好き。嫌いだったら社長に内緒で付き合ったりしないし。
でもあっちは私のこと嫌いなんだと思う。だって会うたびに喧嘩ばっかりしてる。
今だって、二人きりなんだからちょっとは甘い雰囲気になってもいいと思う。楽屋とはいえ、気が抜けないのもわかってるけど、でも。

「はあー…」

「ため息をつくな、愚民。紅茶が不味くなるだろう。」

「あーはいはい。恋人を愚民呼ばわりですか。」

「愚民に愚民と言って何が悪い」

「仮にもカミュの彼女なんだよ?名前で呼んでくれるとか」

まるで聞こえなかったかのように、平然な顔で紅茶を飲み始めた。
そうですか、無視ですかー。
やっぱり嫌いなんだ。嫌々付き合ってんのかな。

「もう少し、優しくしてくれたらいいのに…」

小声で呟く。
言ったところでカミュが優しくなるわけがないし。

「ほう?つまり貴様は、俺に優しくされれば満足ということか?」

「え?」

急にカミュを取り巻く空気が変わった。
テレビモードのカミュみたい。

「名前様」

「は?ちょっと」

「紅茶のおかわりはいかがですか?」

「え?あの、カミュ?」

「はい。なんなりとお申し付けください。」

そういってカミュは私の前にひざまづき、手の甲に口付けた。

「は、ちょ、カ、カミュ?!」

「ふふ、その真っ赤なお顔も可愛らしい」

たちあがったカミュは少し身を屈めて私の耳元で囁いた。

「食べてしまいたいほどです」

「ばっ、ばか!」

「本心を伝えたのです。」

「っー…もう、いいから。私が悪かったです」

「ふん、貴様もまだまだだな。」

そういってカミュは紅茶を飲みに戻っていった。

「おい、こっちにこい」

そういってカミュは紅茶を注いでくれた。

「はーい。いただきます」

いい香りがする紅茶を口に含む。
相変わらずおいしい。でもカミュは砂糖をたくさん入れてしまうからせっかくの紅茶も台無しだ。

「優しいカミュもいいけど、やっぱり普段のカミュがいいよ。」

「俺としても、恋人の前でもあのような態度を要求されるのは少々居心地が悪い。」

恋人って、思ってくれてるんだ。
思わずにやけてしまう。

「そっかー。恋人かー。えへへ」

「奇妙な顔をするな。気持ちが悪い。」

そんな罵倒も愛故だよね。うん。

「カミュ、大好きだよ」

「……………」

「ごめんね、ちょっと不安になっちゃったんだ」

「案ずるでない、ちゃんと愛している。」

「カミュ…」

立ち上がったカミュは私との距離をぐっ、と近づけた。
鼻先が触れそうなくらい、近い。

「だから安心しろ。全て俺に委ねるがいい」

また距離が近づいた。


……………………………………

相互でいただきました!
カミュぅうう!!!!!!





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