□「さらら、お前、ゆらに付き合って関東浮世絵町に修業行って来い」
そうはとこの父親であるおじさんに言われたのが昨日。そして翌日である今日、私達は新幹線を使って関東で今、最も妖怪が跋扈していると言う町に向かっていた。
「ゆら、先に言っとくけど、無茶したらいけないよ」
「平気やて!私には式神があるんやし、妖怪に狙われたったらさららも護ったるよ」
「ゆら、あんたを護るのは私の役目なんだって、何度言えば分かるのかな?」
確かに空狐と陰陽師の血を引く私は中途半端な存在で、目立つ。更には神通力もあるからと、その力を狙って何処から出た物か知らないが、その血肉を食らえば神通力が備わる等と京妖怪で広まっているばかりに良く妖怪に狙われてきた。
その為、陰陽術は死に物狂いで学んだし、神通力も使える様に修業してきた。
お陰で、今では花開院で次期当主であるゆらの護衛を任される様になった訳だけど、ゆらは昔の私を知っているから今でも私を護る等と言ってくれている。
「さららは私の大事な親友や!せやから、助けたい思うのは当たり前や」
ニッコリと笑ってくれるゆらは、私が学校でイジメに遇っていたのを知っているんだと分かった。
まあ、それも中学生となった今では寧ろ無くなったんだけど…
「ありがとうね。でも、これからは私がゆらを護るから。無茶は堪忍ね」
ゆらには恩がある。
だから、この命に代えても護ってみせる。
先見の力で見えたゆらの未来は、とんでもない闘いに巻き込まれて行くものだった。
そのお陰でゆらが成長して行くのも分かった。けれど、命懸けの闘い。
だからこそ私の力で少しでもゆらが全力で戦える様にサポートしなければ、と急な命令にも頷いたんだ。
嘗めるな、妖怪。
ゆらは必ず護ってみせる。
* * *
「花開院ゆらです。どうぞよしなに」
「同じく花開院さららです。ゆらとははとこです。どうぞよろしく」
浮世絵中学に転校してきた私達。恐らく花開院のお願いでもあったんだろう。ゆらと私は同じクラスになった。
「!」
軽く挨拶をして教室を見回すと、僅かに感じた妖気に私はつい気配を探る。
そうして見付けたのは二人。
「二人は後ろの真ん中の席だ。着いたらホームルームを再開するぞ」
「「はい」」
担任の言葉に意識を元に戻して席に向かった。
「なんや、一緒のクラスで良かったんね」
「そうやね」
どうやら気付いてないらしいゆらには黙っとくべきだろうか?
一応修業で来ているわけだし、危なくなったら手を出せばいいか、と取りあえず今は何も言わない事にした。
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