ボクは今困っている。しーん静かな空間にボクと彼の時間だけが止まったような錯覚さえした。
彼の視線はボクが持っている物を見て固まっている。

………アニメのDVDを。


***


話の始まりはもっと簡単だった。ボクは日課である掃除をしていた。真選組でボクの出来る事は限られていて家事洗濯が主になりつつある。見廻りなんてかなり稀。…ボクは女中かよ、なんて愚痴を呟きながら土方さんの部屋を掃除していた。

「…あれ。」

そしてなんだか怪しげな箱を発見してしまったのだ。ダンボールに【開けるな】とマジックペンで書いてある。…気になる。なんで押入れの奥にこんなのがあるんだろ。
……開けていいよね?心の呟きに答える人などいるはずもない。その事実がなんだか開けていいと言われているみたいで。

「えいっ!」

開けてしまった。

「あ、アニメのDVD?」

ダンボールの中にはぎっしりとアニメのDVDがあった。予想ではAVとかエロ本とかだったんだけどなぁ。悔しいなぁとそのアニメをよくよく見ると。

「…………18禁?」

あれ、18禁って18歳以下が見ちゃいけないやつだからエッチなのだよね…え、アニメにもそんなのがあるんだ。へぇ…なんて変に感心していたら

「空。部屋の掃除遅すぎだ、ろ」

本人登場。


***


「あ、え、ひ、土方さん、その」

「あ、や、そ、え、え!!??」

慌てたボクの頭ではろくな言い訳が出てこない。でもボク以上に慌ててる土方さんを見るのは出会ってから初めてかもしれない。

「…見たのか?」

「パ、パッケージだけ」

そうか、と呟き土方さんはしゃがみこんだ。も、もしかして落ち込んでる?

「このアニメのDVD、どうしたんですか?」

「………」

「あ、別に土方さんが好きなんだからそれを否定するつもりはないですよ!」

「好きじゃねぇよ!!!!」

速答だった。好きじゃないのに何でアニメのDVDを持っているんだ?なんて思ったけど土方さんの目が『今見た事を忘れないと殺す』と言っていたので聞かないことにした。




大人向け子ども向け
(ああいうの大人向けアニメって言うんだって)








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -