僕にはどうしようもない壁がある。この壁はきっと誰も壊しては、くれないだろう。

「おい、空。巡回行くぞ」

「あ、はい!」

土方さんは【泣く子も黙る(…どころか大泣きする)真選組・副長】で。敵を捕まえる姿はカッコいいしニヒルに笑う所はコワイけど何故だか見てしまう。周りの大人があまりに子供に見えるから(主に銀髪天パーの人)土方さんは大人の人って感じで(いや、実際に大人なんだけど)…うまく言えないけどカッコいいんだ。

それに比べて僕はひょんな事から真選組に入隊したひよっこで。力もなく頭も良くない。…記憶も戻らない。ダメダメなただの子供だ。唯一の取り柄は【絵がうまい】ってこと。…そんなの真選組の何の役にたつのだろうか。

「…空?何難しい顔してんだ」

「え、あ、すみません。」

…こんな風に表情にも出ちゃうし。

「別に謝る事じゃねぇよ」

呆れ顔の土方さん。
こんな何でもない時すら感じる壁。この壁はきっと消える事はないだろう。


肩書きだけじゃなくて
年齢って壁はどう頑張っても消えないし倒せない。

僕は無力だから。


「…本当に大丈夫か?」

「だ、大丈夫ですよ!!」


これで心配までかけてちゃどうしようもないや。


**


「…本当に大丈夫か?」

「だ、大丈夫ですよ!!」


明らかに無理してるのが分かる。こいつはよく表情に出る。……まだ幼いガキだ。

「…なら行くぞ。」

でもソレに気づかないフリをする。指摘した所で空は頑固だから何も言わないだろう。






………なんて、言い訳。


俺はガキみてぇに怖がってんだ。空が…いつか真選組が嫌になって辞めるのを。
別に空が嫌なんて言った事はない。その場の流れで真選組に入隊したわりにはしっかり仕事もする。マヨも常備するようになった。

でもたまに

アイツが同じ年齢位のガキを見て羨ましそうにしてる事を知ってる。

当たり前だ。友達と一緒に遊んで勉強すんのがガキの仕事だ。こんな…汚い仕事をガキがしていいわけねぇ。


それでも
俺は空が真選組にいればいいと思っている。ソレは俺のエゴだ。
いてほしいと思ってしまった、俺の未熟さだ。


どうしようもない、バカじゃねぇか…




年上の願い 年下の思い





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -