街はキラキラとイルミネーションで飾られ、赤い服に白い髭のおっさんが愛想良くケーキを売ってる。
誰もかれも幸せそうに笑ってる。
クリスマス。
キリストだかなんだかの誕生日らしいが、誕生日を祝うよりケーキを食べてサンタからプレゼントを貰う日の方が一般的だ。
そんな今日。今日も今日とて借りたモンを返さない野郎をボコボコにし、一息ついていた。…周りの空気にあてられたのか、何だか寂しい奴みたいだ。いやまぁ、クリスマスまで仕事なのは仕方ない。仕方ないが…なんとなく気落ちする。こういう時はセルティに愚痴を聞いてもらい、負の感情を減らすんだが…無理だろう。何故なら今日がクリスマスだから。セルティは新羅と過ごすと恥ずかしそうに言っていた。…余計気落ちするだけだ。
「あれ、静雄さん?」
「ん?三好じゃねぇか。」
下がり続けていたテンションが一気に上がる。三好に会うのは久しぶりだ。確か定期試験があるって言ってたな。寄り道せず家で勉強していたのだろう。真面目な三好の行動は、案外すぐ想像出来る。
「お久しぶりです。…お仕事中ですか?」
「いや、今終わったとこだ」
「あ、あの…今から予定って…」
「…ねぇよ」
残念ながら予定はない。全くない。恋人もいないからこそ、この池袋全体に漂う空気にイライラする。が、それを可愛がってる後輩に言うのは先輩として…ない。
故に予定がないことだけ伝えたら三好はパァっと花が咲くみたいに喜んだ表情をつくる。…何で俺の予定がなくて喜ぶんだ?
「あの、ですね!今、池袋ですっごく綺麗なイルミネーションがあるらしくて!!行きたいんですが、僕一人で行くにはちょっと…って思ってたので、よかったら一緒に行きませんか?」
ああ、そういやそんなとこあったかもしれねぇ。三好の言うイルミネーションを思い浮かべた。確かにあの恋人だらけな空間に一人は気まずい。…いや、しかし。
「お前は、」
男同士二人だけでイルミネーションって気まずくないのか?
そう聞こうとしたが、言葉は続かなかった。三好は、とても楽しみなのを隠しきれないような表情で。今聞いちまったら、きっとこの表情は寂しそうな残念そうなモノに変わることがわかったから。
「いいぜ、行こう」
そう笑うと三好は今度は隠しもせず嬉しそうに「楽しみですね!」と笑った。

メリークリスマス!



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