第3話






ダダダダ‥‥

直後、凄い音が聞こえて来ると
バンンッッとドアがいきなり開いて、リュウガが中に入ってくる。
つんのめる勢いで、厨房の奥まで駆け込んできたリュウガは、服を着る間も惜しかったのか
素肌にシャツを羽織っただけだ。


「せんちょう‥」


突っ立つ●●●に目もくれず、リュウガは素早く袋を取り上げ、中を覗いて「ぐっ」と顔を横に背けた。


「船底(した)のもダメか‥!」


すぐに叫ぶと、そこに駆け込んで来たナギが、下唇を噛み締めた。


「ええ。こないだ買った野菜は全部。‥‥おれのミスです」
「‥‥‥‥っ、」


そして訪れた、重たい沈黙。
しばらくしたのち、リュウガは「は」と息を吐く。
ガリガリと頭を掻きむしった。


「ま、今更どうこう言っても仕方がねえ。お前で分からなかったんだ。よほど特赦なケースなんだろうよ」


かと思うと、リュウガは頭を掻きながら、その場でグルグルと回り始めた。
厨房の奥を、行ったり来たり‥

しばらくすると足を止め、じとりと●●●をリュウガは見た。


「なら、コイツをどうするか‥‥」


ナギも1つ頷いて、同じように●●●を見る。


「へ?」


2人に顔を見つめられ、思わず肩がギクリと跳ねる。


「どうするか‥って、わ、わたしっ?」


引きつる顔で尋ねるも‥
2人はただ困った顔で、じっと顔を見つめ続ける。


「とにかく。食い物がねえならやむおえん。コイツの事はおれの方で考える」


しばらくしたのちナギの肩に、リュウガはポンと手を置いた。
2人は「うん」と頷き合う。


「‥‥って事で、まずは進路変更か…」


は…と息を吐き出すリュウガは●●●の頭をグシャリと撫でて
厨房の外に出ていった。
ワケも判らず見送る●●●は、リュウガがドアを閉めた途端、パッと顔を振り向かせた。



「……って、なんなんですか、ナギさん」


なんの事だか、ちっともさっぱり分らない。
ナギはただ困った顔で、戸惑う頭をくしゃりと撫でた。




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