進級して同じクラスになってから、気になっている人がいた。名前は奈良シカマルくん。気になって…とは言っても、いきなり顔を見て一目惚れ、というわけではない。よく一人でぼーっとしたり、窓の外を眺めているのを見るんだけど、あ、あと授業中よく寝たりもしてるっけ。

きっかけは至極簡単なこと。授業中に、英語が苦手な私に後ろから答えを告げてもらったときのこと。
その問題は応用問題だったようで、私には手も足も出ない。そんな難しい問題を、いつもぼーっとしている奈良くんはすぐに分かったみたいで。ギャップに感動した。

「あんた…それ、ある意味一目惚れよりも惚れっぽいかもね」
「え、サクラ、なんで?」
「…いいやもう。なんかあんたと話してたら疲れる。愛しの奈良くんと話してこればー?」
「オレが何て?」
「!」

近くにいたのだろう、奈良くんが声をかけてきた。
サクラはごゆっくりー、なんて言いかねない目線を寄越しながら、どこかへ消えてしまった。

「ね、ねぇ…奈良くん!!」
「ん…?」

あ、しまった。

何を話すか決めてないのに、話しかけてしまった。私の悪い癖。…とか冷静に分析している場合じゃなくて!

「えっと〜…あ、頭良いよね!私馬鹿だから!羨ましいや!」
「は?」

いきなり脈絡のないことを話し出した私に、奈良くんがぽかんとする。

「で、その…よく空とか見てるし?き、気持ち良さそうに寝てたり!!」
「苗字、お前…」
「はい?」
「よくオレのこと、見てんのな」



し…しまったぁぁぁぁ!!




「そっそれは!奈良くんが駄目なんだよ!!そんな風にぼーっとしてるのに、賢いし…かと思えば空見てるし…で、」
「ぷっ…」
「あえ…奈良くん?」

くしゃっと笑った奈良くん。こんな風に笑ってるところ、初めて見たかも…

「お前、変な女だな」
「すんません…」
「まあ、友達くらいなってやってもいいぜ」
「!」
「(犬みてぇ…)じゃ、次の時間、また英語だぜ。今度は友達に迷惑かけないようにするこったな」
「わ…私頑張る!だからよろしくね、奈良くん!」

そう言った私に、やっぱり変な女だ…と笑った彼には気づかないふりをしておく。
授業は憂鬱だけど、頑張れるかな。友達になってくれるって言ってたし!よし、待ってろ英語!









「いの、今のあの二人のやり取り見てた?」
「見てた…シカマル、完全にあの子の気持ちに気付いてたわね。友達、だなんて」

それはまるで、告白してきた相手に友達からお願いします。と言っているように聞こえたのだ。

「ま、時間の問題か。あの二人も」
「本当にそうかも。だって、時間かかりそうな二人だしね」

鈍感と不器用が一人ずつ、そして温かく(?)見守る数名、の構図が出来た瞬間だった。


20120228



どんなに優れた頭脳も、恋の前には無力である
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