※同級生高校生パロ


うだるような暑さ、焼けそうなアスファルト。
今日も二人乗りで学校から家までの道のりを爆走。
俺はザンザスの後ろに乗って、冬ならくっついて暖を取るけれど今は出来るだけ離れる為に立っている。

「あっつー」
「言うな、余計暑くなる」

ザンザスが漕ぐ自転車の後ろは快適。たまにカーブで無理な角度をする時もあるけれど、この暑さの中自分で漕がなくていいというだけで楽園だ。汗もかかずに風を受けられるなんて幸せ以外の何物でもない。猛暑日にはその風も大して意味を持たないけれど。(30℃以上の日には扇風機を回しても意味が無いらしい、体感温度的な意味で)

「コンビニ寄ってこうよ」
「お前のおごりだぞ」
「じゃあパピコな」

いつもだったら肘鉄の一つでも飛んできそうだけど、今は二人乗り中だから「ったく…」という文句だけ聞こえた。

学校と家の途中には長い坂があって、下校の今は下り坂。途中に信号もないから一気に下りきると風がめちゃくちゃ気持ちいい。
あと少しでその坂にさしかかるところで俺はあることに気がついた。

「ねぇザンザス、」
「あ?」
「あのさ」

そこまで言った時。車体が一気に傾く。最高の場所にさしかかった。

「うひゃー、きもちいいっ!」

ザンザスの肩にぎゅっと掴まって、一気に下まで駆け下りる。
頬を髪を体中を通り過ぎていく風がなんて気持ちいいんだろう。

「綱吉!」
「なに!?」

風が邪魔をして声を張り上げないと聞こえない。

「なんか言いかけただろ!なんだ!」

ザンザスはブレーキなんて無粋なものは掛けないであっという間に下る。
少しだけ余韻で上がったところにある信号で止まって、俺は跳ねるように自転車から飛び降りた。

「忘れ物したから、ガッコ戻って」

えへへ、と笑って見せたけど、今度は思いっきり肘鉄を食らった。




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