ツナさんが好き。
でも京子ちゃんも好き。
だから二人とも幸せに。二人が幸せなら私も幸せ。


「本当か?」
「ほんとですよ、私は幸せなんです!」

ボンゴレ本邸を出て、夜風を浴びながら海岸で一人気持ちよく過ごしてたら邪魔が現れた。
何処から見てもいい男で、中身を知らなければ私だって恋をしていたかもしれないけれど、彼はたった一人のことしか見ていないから対象として見ることすら無駄だ。

「お前、十代目のこと好きなんだろ?」
「好きですよ。でも京子ちゃんも大好きなんです。二人が幸せならそんな素敵なことないじゃないですか!」

少し塩を含んだ海風もジメジメしていないイタリアの夜風ならば心地良い。
ツナさんを追いかけてイタリアに渡ってもう何年経っただろう。すっかりこの地が気に入って、最初は冗談だと思っていたマフィアなんかになって。私はすっかり変わってしまった。それでもツナさんと京子ちゃんが好きだという気持ちは変わらない。

「そういう獄寺さんはどうなんですか。」
「俺はいいんだよ。俺のはそんな浮ついた軽い気持ちなんかじゃねぇ」
「私だってそうですよ。私だって、ツナさんの為、京子ちゃんの為になら何だってしたい」

だから、マフィアなんてやってる。

「獄寺さんと私は似た者同士です」
「気持ち悪いこと言うな」
「だって叶わない気持ちだって分かってて、諦めて、その先にあるものに辿り着いてしまったんです」
「その先?」
「はい。その先です。」

獄寺さんがいつの間にか銜えていた煙草の煙が風で流されて、いつも不快に感じるその甘い匂いが何故か心地良いと思った。






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