もう止められなかった。感情が高ぶりすぎて頭がうまく働かないのだ。自分で何を言っているのかも分からない。

「俺、おまえが好きなんだよ大野」

大野は目を見開いて声も出ないのかじっと俺を見ている。俺も大野の瞳をじっと見つめたまま視線を逸らさずにいた。
だんだんと思考が追い付いてきて、とんでもないことをしているんじゃないのかと思い始める。大野には付き合ってる彼女がいて、だいたい俺は男で目の前の彼も確かに男で。俺が大野を好き、そんなことがあるのか?冷静になるとかなりまずいことをしていると気が付いて俺はサッと手を戻し体を離した。
否、離そうとした。
それが出来なかったのは、大野の手が俺のシャツの裾を掴んだから。

「え、」

完全に膝立ちした俺を上目遣いで見上げる大野の目はまた泣きそうに歪んで、それでも強い光を放っている。

「おれ…俺もっ」

キリッと整えられたはずの眉が下がってすごく可愛い。泣きそうに潤んだ、それでいて意志の強い目もすごく綺麗。あぁ駄目だ、一度気付いてしまった彼への思いは溢れる。頭で考えるより早く、確実に気持ちを表している。

「おまえが」

もう待てない。言葉を最後まで待たずに勢いよく抱きしめた。大野の右肩に顔を埋めてきつく抱き締めた。

「俺も、杉山が好きだ」
「俺、勝手に自分の都合のいいように解釈するぜ」
「あぁ」

抱きしめている腕の力を少し弱めて、大野の顔を見る。数センチの距離で愛おしい人と目が合う。あとほんの少しで触れられる距離。

「おまえ彼女いるじゃん」
「それはおまえとまだ再会してなかったから」
「俺、男だよ」
「知ってる」

クスリと笑われた。だって信じられないんだ。大野が俺を好きだと言ってくれるなんて。

「じゃあ、キスしてもいい?」
「あぁ」

今度は大野の手が俺の首の後ろに回って弱い力で引き寄せられる。俺たちはそまま唇を合わせるだけのキスをした。






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