あれから一週間が過ぎた。
俺はあの次の日担任と顧問にめちゃくちゃ怒られた。でも、大野に会いに行って良かったと思っていた。前日に見た彼の姿は本当に別人のようだったのに、学校帰りに待ち伏せして遊んで、彼は俺の知ってる大野に戻ってくれた。メアド交換も出来たし。いまだにあの時の悲しそうな顔が忘れられずにいたけど。
俺はすぐにでも連絡したかったけど、部活で忙しくて携帯も投げっぱなしの日々が続いていた。大野も彼女いるって言ってたし、誘っても予定とかあるだろうしなと思って連絡することはなかった。
『久しぶり。おまえ連絡してこないから俺からしちゃったよ(笑)いつヒマ?遊べそうな日ある?』
メールが来た。着信を確認した時点でかなり売れしくて急いで内容を読む。まさか誘いの内容だと思わなくて、俺は驚いた。嬉しかったけど、あいつは俺と会いたくないんじゃないかと思っていたからだ。
『サンキュー!えと、今週の日曜日は?部活午前だけだから午後からならヒマだし。そっちは?』
『分かった、日曜日な。場所と時間決めといて、俺一日予定無いから』
返信がすぐ来る。時間と場所は俺が決めた。
場所は、大野の家。
一週間というのは本当にあっという間に過ぎていくもので、日曜日に予定があると余計なのかもしれない。平日はあっという間に過ぎた。今日、俺は大野の家に行く。彼が引っ越してから彼の家に行くのは初めてで、それはもう楽しみだった。
大野の家の最寄り駅で待ち合わせ。時間は14時。俺は部活から帰って急いでシャワーを浴びて着替えた。昼食もそこそこにチャリに乗って駅まで爆走して、電車に飛び乗った。検索して、あぁ5分遅刻だ。すぐメールを打った。返信はすぐ来た。
予定通り14時5分に駅に着く。改札を出ようと彼の姿を探してきょろきょろするとかなり目の前に姿が見えた。
「ごめん!」
「いいって。今日はちゃんと部活出てきたんだろ?」
大野はヘッドホンを外して首に掛ける。何聞いてたんだろ?
「ん?何?」
ヘッドホンをガン見してた俺に大野は不思議そうな顔をする。俺は何でもない、と笑った。
駅から彼の家までの道すがらコンビニに寄って飲み物と少しのお菓子を買って、自転車で来ていた大野の前かごに入れた。家まで歩いて20分ぐらい、だらだらと何でもないことを話しながらあっという間だった。
「おじゃましまーす」
大野の家は一軒家で、大野は二階に上がって左側が俺の部屋だから先に行ってて、とコップを取りに行った。家には彼一人で、まぁ今の時代共働きなんて珍しいことでもないから何も思わなかった。
部屋に入ってみると彼の部屋はきちんと整頓されている。壁に制服が掛っていて鞄は机の脇に置いてあった。机の上には教科書とノートの類が綺麗に立ててあって、何冊もの問題集がそれに並んで置かれている。
「おい、あんまジロジロ見んなよ。面白いもんとか無いし」
いつの間か扉の前に居た大野が笑いながら入ってくる。整理された机の上にコップを置いて俺が持って上がってきたペットボトルからサイダーを注いで俺に渡した。
「適当に座って。あ、ベッドの上はダメだけど」
俺はベッドに背中を預けるように床に座る。彼は机に備え付けてある椅子に腰を下ろした。
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