久々に入ったゲーセンではしゃいで気付くとあっという間に18時を回っていて、俺と大野はファミレスに場所を移していた。

部活部活で放課後も休日も無かったから、こんなに遊んだのは久々だった。最初はただついて回っていただけだった大野も気付けば二人童心に戻って対戦したり大声ではしゃいだりしていた。

「あ、せっかくだからプリクラも撮れば良かったなー」
「バッカ、プリクラは男二人じゃ入れねぇよ」
「え?そうなの?」
「女同伴じゃないと無理。防犯対策だろ?」

屈託なく笑う彼に一瞬ドキリとする。眼鏡の奥の目も本当に笑っている。あぁ、今目の前に居るのはやっぱり大野なんだなと思った。背も伸びたし見た目も変わった。成長した。けれど笑った顔はあの頃のまま眩しく輝いている。

「大野って彼女いる?」
「うん、いるけど…?」

そっか、そうだよなぁ。大野は昔から女子にモテまくってたし、今だって昔のように活発な感じは無くなったけどイケメンな部類だし。眼鏡だからか理知的な雰囲気を醸し出していて、第二ボタンまで開いている胸元も俺と違って品があった。あまり日焼けしていない白い肌も、纏う雰囲気にあっている。少し寂しかったけど。

「杉山は?おまえモテそうだもんなぁ」

ぼーっと考えていたら切り返されて少し焦る。

「俺?俺はいない。そんなヒマねぇしさ」

本当のことだ。告白されたことは幾度かあったが頷いたことは無かった。放課後も休日も部活で忙しくて彼女どころではなかったし、何か違ったのだ。付き合うという感覚がよく分からなかった。

「え、もったいない!ぜってぇおまえモテるだろ?可愛い子とかいねぇの?」

なんだかモヤモヤとした気持ちがした。理解しがたい感覚。俺より進んでる大野に対する嫉妬とは違う、とにかくモヤモヤした気持だ。

「んーまぁ、いないことはないけど」

気持ち悪い。こんな気持ちは知らない。俺はそれを紛らわそうと鞄を漁って携帯を探した。

「あ、彼女の写真とかないの?写メとかプリクラとかさ」

大野は困った顔をして、無い。と言った。






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