※学パロ寮生政宗と幸村

政宗殿の帰りは遅い。学生寮の門限を遥かに越えて帰ってくるのはアルバイトのせいであって遊んでいるわけではないから、俺は何も注意はしない。
政宗殿が帰ってくる時間には既にベッドの中にいる俺を気遣って、政宗殿は帰ってくると電気を点けずにそのまま自分のベッドに入り、部活動で朝の早い俺と共に起床し朝食を食べてこの寮共同の風呂に入る。俺はもちろん風呂へ向かう政宗殿を見送りつつ学校へ向かうのだ。

今夜は寮生とついつい話が弾んでしまい、ベッドへ入る時間が遅くなってしまった。パジャマ替わりにしているスウェットで潜り込んだそこはひんやりとしていて、少し眠気を帯びていた脳が起きてしまう。寒い時期は仕方がないのだが困ったものである。
眠れる気がせず仕方なしに目だけ瞑っていると、暫くしてそっと扉が開く音がした。

もうそんな時間であったか。少しウトウトし始めた頭で考える。
衣擦れの音がして、小さな声で「さむっ」と呟くのが聞こえた。今日は朝方から雪が降って今も窓を叩く雨粒の音が聞こえてるからよほど寒いのだろう。部屋の中も寝る前に空調を切ってしまっていたから寒いはず。明日からは空調を低めの温度で入れておこう。
音がしなくなって、政宗殿はそのまま反対側のベッドへ入るだろう。そう思っていたら、俺が寝ているベッドが急に軋んで何かが布団の中へ侵入してきた。するりと潜り込んだそれはあろうことか壁側を向いた俺の体を後ろから抱き締めるように密着してきたのだ!

「ま、政宗殿!?」
「悪い、起こしちまったか。sorry」

肩越しに政宗殿の息が首筋に掛かる。

「いえあの、政宗殿のベッドはあちらで」
「今日すげぇ寒ィんだよ。だから暖取らせてくれ」
「いや、でも」

言っている間にも背中にぴたりとくっついた政宗殿の体。あまりの至近距離に寝返りを打つことも叶わず、何か言わなくてはと考えているうちに後ろからはスースーと寝息が聞こえだしてしまった。掛かる吐息がくすぐったい。それ以上に突然のことでどうしていいか分からない。
けれど政宗殿の左腕はしっかりと俺の体を押さえていて動けないし、何より確かに温かな体温が眠気を誘った。もともと睡魔がきていた脳は考えることをやめてそのまま眠りに落ちることを選んだ。





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