※高校生(not学バサ)
不毛な恋をしている。
どうせ実るはずのない恋。実らせてはいけない恋。
「じゃ、またね」
見目良く生んでくれた親に感謝。放っておいても次から次へと新しい女はやってくる。
「恋」なんて乙女みたいなことを言っても、健全な高校生男子。性欲はある。あるどころか思考の半分以上、もしくは八割以上がそればっかりだ。誰だってそう、興味ないなんて言う奴の方が異常だ。
最寄りの駅で車から降りてサヨナラ。運転席はつい一週間前から始まった女。確かしがないOLだなんて言っていたけど、デートの食事やら何やらのお金は全部向こう持ちだし車での送迎付きだから身入りはそこそこなのだろう。
色々面倒だから最寄りの駅前で降ろしてもらって、俺は見送りもせずに踵を返した。
「あれ、佐助?」
背から呼び掛けられて首だけ振り向くと、見た目の派手な同級生がバイクを押してこちらに歩いて来るところだった。
「風来坊、」
ちなみに今は日付も変わる寸前。駅前の店も居酒屋かコンビニくらいしかやっていない。
バイトの帰りあたりだろう。
「こんな時間にどうしたんだ?」
「デートの帰り。」
「あの車…また新しい彼女?懲りないなあんたも」
慶次は眉を八の字に寄せて言う。
「放っておいても寄ってくるんだから、仕方ないでしょ」
パンツの後ろポケットに入れていた携帯が震えた。抜き出して見ると、三件のメール受信。慶次を放って受信フォルダを開けば同じ名前が三件表示されていて、思わず苦笑した。
「俺はそういうの、あんまりいいとは思えないけどなぁ」
慶次の声に俺は無言で返した。
続くかもしれない。
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