男泣き | ナノ




世界が眠る


ねえコーヒー、僕らの世界は。

 やさしい時間は午後二時。甘い砂糖菓子を食べよう。くちびるが甘いだけで、幸せになれるんだって知っていた?ふたつが合わさればいいね。だけどテレビ番組は退屈で。

 ねえコーヒー、君の生まれた頃の話をしてくれない?きっと背中に羽根が生えるような気がするんだ。
 いつか君が誰かに話す君の物語に、僕が出てきたらいいな。でも本当は、誰にも教えたくない。
 一生をかけて同じ本を読もうよ。飽きないように、たくさんのイベントだって考えているんだから。

 ねえコーヒー、僕は君に出会って、一つだけ後悔したことがあるんだ。ごめんね?僕は死にたくない。君に出会ってから死ぬのが怖くなったんだ。

 ねえコーヒー、出来れば生きるのも死ぬのも一緒がいいよ。そうしたら一秒だって君のいない世界に生きていなくて済むし、僕のいない世界に君を一人きりにもさせないから。

 ねえコーヒー、「おはよう」って言って「おやすみ」って言うの。ただそれだけでよかったよね。思い出はおいていこう。いつかの僕たちが思い出せるように。


 戦争じゃない。酸素がなくなったときじゃない。地球に隕石がぶつかったときじゃない。
 世界の終わりは、君が死んだときだよ。コーヒー。








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