彼の大きな指が一本、長い爪が私の皮膚を撫でた。 ぞくりとして背筋が震える。恐怖や不安に泣きそうになった。 青い唇が近づいてそっと私の額に触れるだけの口づけをする。 彼が私をどうしたいのかは未だにわからない。優しい声で何度も私の名前を呼ぶものだからかわいそうになって返事をした。 多分、それが今日の間違い。 彼は嬉しそうに笑みを浮かべたかと思うと少し興奮した様子で私の手足を押さえつけた。 指の一本が私の腕みたいな太さ。手だけですっぽりと私は収まる。 「シャハラ、シャハラ、好きだよ大好き。可愛いね」 彼はそういって空いてる指の一本で私の頭を撫でた。 顔を近づけてきたかと思えば熱い舌を這わせてきた。 ぬるついた舌が這うのに身体が震える。 きもち、わるい。 ―――――――― 苦しそうにせわしく呼吸をする合間に時々漏れる悲鳴のような声に背筋が震える。 僕は人間が嫌いで、彼女は人間で、嫌悪を感じていないと言えば嘘になる、のだけど。 どこまでも純粋でどこまでも真っすぐで馬鹿で単純で愚かで浅はかだ。 頭の足りない行動を見ると微笑ましいと思う。何度も口にしている通り、かわいい。 泣きじゃくる彼女が鼻をすすりながら小さな手で僕の指を掴んだ。 消えそうな音量の声で嫌いだと言ってた。気がする。 「僕も君なんか、大嫌い」 言ってることとやってることが違うし さっき言ってたこととも違うけれど たぶんそれにすら気がつかない女の子 |