「目が、違和感を感じる」

年齢がいくつかということはさておき、可愛らしい顔立ちの彼はその顔を歪め不快感をあらわにしている。
大丈夫かという私の問いに彼はううん、と煮え切らない返事をし、目をこすった。

「駄目だ、落ち着かない」
目元をこする彼の姿はまだ眠気を訴えるような様子にも似ている。
まぁ、云々いいはしたがつまるところ彼はとても素敵だというわけだ。

「取り出して、はめなおしてあげましょうか」
彼は更に深く深く眉間に皺を寄せて信じられないという表情をして私にきもいと一言言った。
そういう次元の話ではない、だそうだ。

「そう、残念」
ふ、と口元を緩め笑みを浮かべながら目の玉の抜けた彼もきっと素敵なのだろうとひとりごちた。

「サソリさんって可愛い顔してますよね。お父様とお母様に感謝したほうがいいでよ」
「なんだ突然気持ち悪い死ね。その言葉は打ち返した」
「死にませんけど褒められたことはありがたく受け取ります」

「…でも、私、目ばかり大きくて馬鹿みたいな顔してますね」
「やめろよえろい」
「とても意味がわかりません」

似たもの同士ってことだろうさ!