小南の姿が見えないので所在を問えば買い物に出ているという。
私に声をかけてくれれば一緒に行ったのに、荷物持ち役でも良かったのに、という事をもらせば他の人と出かけた旨を聞いた。

それから、私も誘ってくれても良かったのに、と少し考え始めたら止まらなくなった。

小南は優しい。
が、それは私だけにではない。
みんなに優しい。
流石天使様。

しかし私は女だ。
女だけの話もある。
だから私は他の人より彼女と親しい筈なのだ。
話が飛躍しているのはわかってる。
仮に、私が無駄に彼女への交流を望んでいたり絆を感じていたとして。
それは彼女が優しいから私が勘違いしているだけなのだろうと。

昔馴染みの連中や幼馴染だというリーダーとの方が仲が良いのかもしれない。
一回りも年下の私とは本当は話も趣味も何もかもあわないのかもしれない。

現に、私は荷物持ち役としてすら誘いの声がかかっていないのだから。
別に。別に。
別にいいもんね。

適当にその辺にあった紙をいじる。
いじりにいじって小南のように薔薇が作れはしないかといじりにいじる。
結果チューリップになった。

もっと早く生まれて、大人になっていたかった。
小南のような素敵な女性になっていたかった。
むちむちぼいんで。落ち着いてて。強くって。

「レナ、おはよう」
いつの間にか眠っていた私が目を覚ますとそんな声がかかった。
小南が笑顔で私を見やる。
背中に毛布がかかっている。

「…おかえり小南。随分と遅かったね」
「大分前に帰った。レナは眠っていたけど」
事実だから何も言えずにいると彼女が思い出したように何か取り出した。

「邪魔になるかとも思ったけど…素敵だったから」
つい買ってしまったの、と彼女が髪飾りを差し出してきた。
私に似合う色だと思って、と。

その瞬間、今まで私が何を思い悩んでいたのか、ものすごくくだらなくなった。
お礼にとつたないチューリップを渡すと彼女は笑顔を見せてくれた。
本当は薔薇を折ろうと思ってたことを伝えると明日一緒にやろうと言ってくれた。

その日のご飯はおでんだった!